駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

前回から丸1ヶ月ぶりのIMP昼夜興行。いよいよシーズンインの3月ということで、ここからは週末のカレンダーが興行予定で埋まってゆく事になる。4月には神戸と大阪で興行がバッティングするという、筆者にとっては頭の痛いスケジュールもあるようだが、やはりこういう同一会場2部構成というのが、観る者にとっては非常に便利であるのは言うまでも無い。
さて、今回の昼夜興行は、昼の部に正拳ジム主催興行、そして夜の部には西日本新人王戦1・2回戦の集中開催興行が行われる。新人王予選は昼の部でも行われ、都合11人が勝ち名乗りを挙げ、敗れた11人は早くも終戦を余儀なくされる事となる。昼夜合わせて15試合・計78Rは二部制としては控えめなボリュームだが、これに普段と同じチケット代分の価値を付加出来るかどうかが選手の奮起に懸かっているのは言うまでもない話だ。


※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。

第1部・「拳王への道・SEIKEN×MUTOH 〜六島の逆襲〜」(正拳ジム主催)

昼の部は正拳ジムの若手育成興行ブランド「拳王への道」。しかし今回は昨秋開催された「六島VS正拳5対5」の続編的位置づけで、本興行の番外編的意味合いが強いようだ。
興行の構成は、まず第3試合までが正拳ジム勢が出場する新人王予選3試合。第4試合からセミの第7試合までのうち、3試合が正拳と六島の対抗戦。そしてメインは金沢ジムの若手筆頭・武市晃輔が、大鵬ジムの輸入ボクサー、アルマンドエルナンデストーレスを相手に2度目の世界ランカー挑戦を敢行する10回戦である。何ともテーマの絞り辛い興行ではあるが、集客できる要素を片っ端から詰め込む、というスタンスも商業的にはアリか。
メイン以外の注目カードは、前回「六島VS正拳」の大将戦のリマッチとなる、セミの金丸清隆×山崎晃の一戦だろう。前回は山崎が体調不良もあって精彩を欠いたが、金丸も簡単にリベンジを許さない。金丸がランク落ちしたためノーランカー対決になってしまったが、拳とプライドがぶつかる好勝負が期待できるマッチメイクである。他にも元西日本新人王が3人集結する豪華な前座もあり、全7試合・計42Rの中身は濃い興行だ。

第1部第2試合・Sフェザー級4回戦/○森田登[正拳](判定3−0)中川章[泉北]●

1Rに中川がダウン1回。
公式判定は松田40-36、坂本40-36、宮崎39-36の3−0で森田。駒木の採点は「A」39-36「B」40-36で森田優勢。

第1部第3試合・ライト級4回戦/○松原勇太[正拳](判定3−0)昔川真也[大星]●

昔川は1Rにダウン1回。
公式判定は原田、宮崎、半田の三者いずれも39-36で松原を支持。駒木の採点は「A」39-36「B」40-37で松原優勢。

第1部第7試合・ライト級契約ウェイト(60.0kg)8回戦/●金丸清隆[正拳](判定0−3)山崎晃[六島]○

金丸は8Rにマウスピースを何度も故意に吐き出す行為により減点1
公式判定は原田78-74、坂本77-75、北村77-76の3−0で山崎。駒木の採点は「A」78-73「B」79-74の3−0で山崎。

第1部第8試合・Lフライ級契約ウェイト(48.0kg)10回戦/●アルマンド・エルナンデス・トーレス[墨国/大鵬](判定0−3)武市晃輔[金沢]○

武市は3Rにダウン1回。
公式判定は宮崎97-94、半田97-96、原田96-95の3−0で武市。駒木の採点は「A」95-94「B」97-94でエルナンデス優勢。リングサイドのマニア・関係者の採点では、意見が割れたもののエルナンデスを推す声が多かったようだ。際どいラウンドもあり、1点差なら武市の勝ちでもおかしくはないと思うが、ダウンの2点分を覆して最大3点差でユナニマス勝ちをして然るべき内容とは思えない。

第1部総括

セミとメインは選手の格相応の試合内容にはなったものの、フルラウンドの判定決着。メインの微妙な判定と所要時間の長さ(4時間)が相まって、筆者にとっては爽快感よりも疲労感が先立つ興行になってしまった感があった。
一方、前座では細川の好パフォーマンスが光った。日本ランクを獲得して試合振りに自信が漲って来たようだ。今日はスタミナを気にしないで済む6回戦というのも良かったのだろう。
新人王戦3試合は、率直に言って平凡な内容。ライト級の有力候補・松原も順当に勝ち上がったものの、かつての勝ち味の遅さが顔を覗かせてしまったようで、不安の先立つ緒戦となってしまった。

第2部・西日本新人王戦1・2回戦(西日本協会主催)

夜の部は西日本新人王予選の集中開催。今年度は各階級で参加者が減っており、この日も試合数は7階級8試合と、据え置きのチケット代を考えると少々寂しい内容に。
この日は、度重なる遠隔地遠征の負担を和らげるための措置か、岡山にある倉敷守安ジムからエントリーした5選手が一斉に登場した。他にも京都や兵庫からの選手も多く、“局地的ドーナツ化現象”とも言うべき様相である。これでは大挙して選手の応援団が来場、というわけにもいかず、故に昼の部から据え置きの客席は閑古鳥で満員状態。見るからに寂しい観客席を前に戦わねばならない選手たちが少々可哀想に思えた。ただ、プロならばここから強くなって、最後は武道館を満杯にしてやるというぐらいの負けん気が欲しいところ。出場選手にはこの日の閑散とした客席を目に焼きつけ、いずれ自分がメインでこの日の空席の数倍の客を呼んでやる、と奮起してもらいたいものである。

第2部第4試合・Sフライ級4回戦/○青木一平[六島](判定3−0)横山集[明石]●

横山は4Rにダウン1回。
公式判定は松田39-37、原田39-37、半田38-37の3−0で青木。駒木の採点は「A」38-37「B」39-37で青木優勢。

第2部第5試合・Sバンタム級4回戦/●西田至孝[塚原京都](判定0−3)土師智洋[倉敷守安]○

西田は2Rに手をキャンバスに着くフラッシュダウン1回。
公式判定は北村、原田、半田の三者いずれも40-36で土師を支持。駒木の採点は「A」40-35「B」40-36で土師優勢。

第2部第6試合・ライト級4回戦/▲田中敦朗[塚原京都](判定0−1武縄勝者扱い)武縄紘[倉敷守安]△

公式判定は坂本39-38(武縄支持)、北村38-38、半田38-38のマジョリティ・ドロー。イーブンとした副審の優勢点投票も含めた判定により、武縄が勝者扱い。駒木の採点は「A」39-37「B」40-38で武縄優勢。

第2部第7試合・Sライト級4回戦/●楯野祥之[大鵬](判定0−3)井上大輔[倉敷守安]○

1Rに井上、2Rに楯野がそれぞれフラッシュ気味のダウン1回ずつ。
公式判定は北村、宮崎、松田の三者いずれも38-37で井上を支持。駒木の採点は「A」38-36「B」38-37で井上優勢。

第2部第8試合・ウェルター級4回戦/○森本貴之[BMB](判定2−1)山口晃生[倉敷守安]●

公式判定は原田39-38、坂本39-38(以上、森本支持)、半田39-38(山口支持)のスプリットで森本。駒木の採点は「A」38-38イーブン「B」39-38森本優勢。

第2部総括

各階級有力候補の沖田、青木、土師、森本は順当に勝ち上がったが、興行全体で見た試合内容は極めて低調。率直に言って、普段の興行の前座カードよりもレベルの低い試合も少なくなかった。後楽園へ向けての視界が開けるどころか、暗雲が立ち込めて来たというような……。有力候補が集う3/21の予選集中開催と、今日勝ち上がった選手の巻き返しに望みを繋ぎたいが、このままでは後楽園ホールで勝ち名乗りどころか、福岡・名古屋の対抗戦すら覚束ない。特に先述した有力候補4人には、次回の試合までに反省点の洗い出しと修正に励んでもらいたい。