駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

亀田三兄弟長男、デビュー第4戦

テレビ各局で採り上げられ、一般層にも話題の亀田3兄弟の長男・亀田興毅が、27日に大阪府立第2競技場でデビュー4戦目となるノンタイトル10回戦に臨んだ。この試合も、実は前日まで観に行こうかどうか悩んでいたのだが、仕事の都合で断念。いくら時間に融通の利く非常勤講師とはいえ18時ゴングの興行に神戸から駆けつけるのは至難の業なのだ。
 で、試合の方は大方の予想と異なり、タイ人の噛ませ犬相手に10Rまでズルズルいってしまい判定勝ち(100-91、99-91、99-91の3-0)に終わったとのこと。
 まぁ今回の相手は過去3戦のような問題外の選手(1〜2階級下の、来日するたびKO負けしているタイ人噛ませ犬)とは違い、一昨年には中村好伸(現日本Sフライ級2位)に判定まで持ち込んだ事もある選手だったのでこういう結果も予想出来なかったわけではないのだが、近い内に世界を目指す人間としては、躓いてはいけないところで躓いてしまったというのが正直な印象だ。
 しかも、各種報道や観戦レポを読む限りでは内容も決して良くは無かったらしい。それも調子云々の問題ではなくて技術面が足りないという。曰く、ジャブからの組み立てが出来ていない。曰く、ディフェンスがガード偏重(それも甘い)でボディワークが見られない。曰く、中盤からはスタミナが切れて動きが明らかに鈍った。……この辺りは実際に確認しなければいけないだろうが、これが事実なのだとしたら、現状における彼の実力は、“相手に恵まれて戦績だけ立派な、横の足の使えない二流のノーランカー”程度という事になる。世界、世界と言っている割にマッチメイクがヌル過ぎるのが不思議だったのだが、誰よりも亀田の実力を把握しているグリーンツダジム側が彼の実力と未熟な経験に沿った相手を選んでいたという事なのかもしれない(まぁ実際に生観戦してない内からハッキリした事言えないけど)。
 ともかくもこれで亀田は4戦4勝(3KO)。だが、目標とする辰吉丈一郎は4戦目で既に日本タイトルを奪っていた。本当に8戦で世界に挑戦するつもりなのか。ちなみに、そうするためには、あと3試合で世界ランカーに引き分け以上の成績を挙げなければならない(しかもWBCなら2人以上*1に)。今回の内容からして、とりあえず次戦も比較的楽な相手になるのだろうが、果たしてどうなるやら。
ちなみに、現在関西のボクシングファンの間で亀田以上に話題なのが六島ジムの名城信男。亀田と同じく6回戦デビューの選手だが、こちらは噛ませ犬との対戦を拒否して4戦目で元日本ランカーの竹田津孝を、5戦目では現役WBC世界ランカーの本田秀伸を相手にそれぞれ完勝して、近日の世界ランク入りが確実視されている。理屈の上では、あと1戦世界ランカー相手に勝つか引き分ければ世界挑戦の資格は得られるので、辰吉の最短世界奪取記録を更新する可能性すらある。
 この名城、亀田とは先日手加減抜きのスパーリングでグラブを交え、持ち前の積極性で明らかな攻勢に持ち込んだらしいのだが、何故かスポーツ各紙には亀田のビッグマウスと共に「亀田が名城を圧倒」というニュアンスの記事が躍った。そういう周囲から贔屓の引き倒し的に甘やかされている所も含めて、亀田の前途はなかなか難多しと言えるのではなかろうか。

*1:キャリア15戦以下の選手に対して適用される例外規定