駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第10試合・フェザー級10回戦/○玉越強平(判定3−0)赤木真●

メインイベントは、千里馬神戸のNo.3・日本Sバンタム級5位の玉越が、02年西日本新人王・赤木を迎え撃つ、ランキング争奪戦。
日本ランク入り以来、タイトル戦の負傷引分を挟んで無敗の玉越は13勝(6KO)4敗5分。昨秋の千里馬興行ではセミファイナル(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20041128#p8)で興行の脇を固め、目次誠を相手に鮮やかなKO勝利を飾っている。
一方の赤木はここまで6勝(3KO)4敗。8回戦昇格後は2連敗中と元気が無いが、勿論この試合に勝っての日本ランク入りを目論んでいる事だろう。
1R。赤木が圧力をかけてゆくところを、玉越はこれを足を使って冷静に捌いてゆく。手数は赤木が多いが、玉越のディフェンスの前に空振りの山。逆に最終盤、玉越の連打が1〜2発入ってディフェンスの評価を加味すれば玉越やや有利のラウンドか。
2R。このラウンドも玉越は赤木の攻めを捌きつつ、かわしざまに強打を放ってボディへのクリーンヒットをはじめとする有効打を奪ってゆく。ゴング寸前、赤木が有効打2発をお返ししたが、ジャッジは微妙。
3R。玉越、このラウンドは先手、先手でワン・ツーを仕掛けてゆき主導権。ステップワーク中心のディフェンスも冴え、手数とヒット数共に優勢。
4R。玉越は赤木の出入りを狙ってジャブ、フックで迎撃し、相手にボクシングをさせない。クリンチワークで被弾を避ける老獪な所も見せて、このラウンドも確実にポイントを奪った。
5R。このラウンドも玉越ペース。大きなヒットこそ奪えずにいるが、右ダブルなどでコツコツと有効打を奪って、ディフェンスで赤木の反撃を封じる。
6R。依然として玉越のマイペース。マッタリとした試合展開で少々地味な試合になってしまうが、ジャブやショートフックで手数を稼ぎ、ディフェンスでダメージを避ける“負けない戦い”。後半には、左ボディをクリーンヒットさせてダメを押す。
7R。序盤こそ、赤木が右を2発当てて良い場面を作ったが、中盤以降は玉越が挽回。ショートフックを細かく顔面に浴びせてゆき、終わってみれば結局玉越が優勢のラウンド。
8R。このラウンドもやはり終始玉越のペース。終盤にはボディブロー、顔面への左右フックをクリーンヒットさせて赤木をグラつかせる場面も。
9R。玉越が赤木のヘディングで出血するアクシデントもあったが、ボクシングでは玉越優勢。上下へ的確なフックを数発浴びせて、膠着気味となったこのラウンドを粘り強く戦い抜く。
10R。玉越は赤木のクリンチに苦しみつつも、左フックを起点に印象的な場面を作ってゆく。最後まで仕留め切れなかったが、試合を通じて確実に10-9を奪うボクシングをしてみせた。
公式ジャッジの採点は、安田100-90、宮崎99-91、上中99-91の3−0で玉越。駒木の採点は100-90のフルマーク。
玉越が“防衛戦仕様”のファイトで確実に1勝を積み重ねた。エンターテインメント的要素や、再度のタイトルマッチへのアピールという意味ではかなり物足りない試合ではあったが、勝ちに来る日本人選手が相手だけに、全く価値の見出せない戦いでもなかろう。思えば、日本ランカー〜OPBF王者時代の長谷川穂積も、ノンタイトルの試合はこういった味気の無い判定勝負が多かった。ひょっとすると、玉越はその辺を意識していたのかもしれない。
赤木は完璧な実力差であしらわれた格好。日本ランク入りを目指すには色々なモノを新たに身に付けなければ果たせないだろう。