駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・Sバンタム級4回戦/○山下大士郎(判定3−0)村上裕●

山下はここまで2敗。昨年11月の試合(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20041128#p4)でも分かるように、接近戦でショートフックを連発するファイタースタイル。一方の村上はなんとデビュー以来7連敗中。肩に脱臼癖があり、試合中に両肩を脱臼してしまった事もある。ジム内では肩から腕が外れていくので“ロケットパンチ”というニックネームをつけられているそうだ(笑)。
1R。前半は、様子見が過ぎて消極的になった山下を相手に、村上が戦績を感じさせぬ動きで攻勢に出る。が、いかんせんディフェンスの意識が薄過ぎて危なっかしい場面がチラホラと。後半は激しいクリーンヒットの奪い合いになったが、守りの堅さの差で村上の被弾が多く、前半の優勢を加味しても互角未満の情勢に。
2R。ショートレンジの攻防。村上は大きなフックを振り回すがガードがやはり全く駄目で、山下から痛打を次々と浴びる。とはいえ、山下も冷静さと技術に欠ける印象で、なかなか思うに攻めきれない。
3R。山下は序盤、距離を取ってワン・ツー中心の攻めで優位に立つが、ボクサー型が性に合っていないのか、すぐに接近戦での泥試合になってしまう。村上は勿論、山下もガードが低く、互いのパンチが次々と刺さってゆく。ジャッジ的には微妙。
4R。このラウンドも泥仕合。両者、精度を欠いたフックとアッパーを連発する粗い試合。ほぼ互角の情勢だが、手数なら山下が若干優勢か。
公式判定は40-36、40-36、39-37の3-0で山下。駒木の採点でも39-37で山下。
典型的な泥仕合だったが、結果的に自分の得意な形で戦えた山下が、相手の拙守にも助けられて初勝利をマーク。しかし、現状の技術・ファイトスタイルでは余程相手に恵まれないと早晩頭打ちがやって来そうだ。
一方、デビュー以来8連敗となってしまった村上だが、こと攻撃に限って言えば決して未勝利で終わる選手のムーヴでは無い。とにかく彼の課題はディフェンスの強化に尽きる。実は村上の試合を見るのはこれが2回目なのだが、以前に比べると随分とプロらしい雰囲気になっていて好もしく思った。ここまで屈辱に耐えてボクシングを続けて来たのだから、是非とも勝つまで続けて欲しいものだ。