駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第6試合・バンタム級10回戦/○池原信遂[大阪帝拳](3R1分46秒TKO)メッガン・シンスラット●

23勝(17KO)1敗で元全日本新人王の池原は、玉越強平に手痛い一敗を喫して以来、ノーランカーに甘んじている。最近は格下の東南アジア人相手を倒せないなど停滞模様だったが、今回は一転して世界ランカーを相手に冒険マッチ。進退を賭けて再浮上を狙う。
対するは42勝(29KO)3敗、元WBCフライ級王者の経歴を持つメッガン。現在もWBCのSフライ級3位でABCO王者と第一線の地位をキープしている。
1R。池原は、体格とリーチの差を活かす左ジャブを多用してペースを掌握。終盤には左フックも交えてヒット数で先行する。メッガンも距離を詰めてボディ中心に連打を見せるが、池原はこれをガッチリガードした。
2R。両者ショートレンジでの激しい打撃戦。ここでも本来の階級差(池原=Sバンタム/メッガン=Sフライ)がモロに出る形で、体格とパワーに勝る池原のフック連打が次々とクリーンヒット。メッガンも右アッパーなどでしつこく反撃するが、意外なほど迫力が感じられない。
3R。このラウンドも両者アグレッシブな打ち合い。メッガンが連打を放って仕掛けるが、歴然たるリーチ差で池原が突き放す。最後は池原がメッガンをロープに詰めて連打、連打。メッガンは完全に効かされて試合終了を宣言するレフェリーに抱きとめられた。
背水の陣で臨んだ池原が大金星をゲット。開き直ってファイター気味のスタイルに転じたのが完全にハマった格好だ。しかし、この試合は純粋なボクシングの実力よりも階級と体格の差の方が目立った一戦だったのも確か。メッガンは今日の試合を観る限りでは、いかにも“元フライ級の名残を消しきれないSフライ級選手”といった感じで、このウェイトでSバンタム級の選手を相手にしては、流石の元フライ級世界王者も並みの選手に格下げされてしまった。印象としては亀田興毅×アランブレット戦をアグレッシブに展開させたらこんな風になるのかな、といったところ。
しかしともかくも、池原はこれで世界へ向けての第一歩を踏み出した。今年30歳、残された時間は決して長くないが、慎重かつ大胆にキャリアを積み重ねてもらいたい。