駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

「駒木ハヤトの西日本ボクシングレポート」勝手に選定・06年度西日本地区プロボクシング年間表彰

前置きは書くのが面倒&多分不要なので簡単に説明しますと、「JBCの年間表彰西日本地区限定で考えてみよう」という企画です。ただし、グリーンボーイの試合に人一倍労力と愛情を注ぐ当サイトですから「A級選手部門」と「新人選手部門」に分けて選定しました。こういうのはあんまりヒネっても仕方ないので、客観的実績8割、試合内容2割でオーソドックスに選んでます。また、別枠として「西日本地区最優秀興行」も選ぶ事にしました。
あと、一瞬「ワースト試合&興行」なんてのも脳裏を巡ったのですが、ここの閲覧者層を考えるとかなり気まずくなるので止めておきます(笑)。

A級選手部門

MVP:長谷川穂積[千里馬神戸]
技能賞:徳山昌守[金沢]
殊勲賞:名城信男[六島]
敢闘賞:高山勝成[Gツダ]
努力賞:池原信遂[大阪帝拳]
KO賞:鮫島康治[Gツダ]
新鋭賞:三谷将之[高砂]
特別賞:石田順裕[金沢]/丸元大成[Gツダ]
年間最高試合:長谷川穂積×ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(3/25・ワールド記念ホール

MVPから敢闘賞までの4つは世界王者組で即決。これはもう議論の余地も無いでしょう。
努力賞は特別賞に回った2人との競合でしたが、挙げた実績の濃度を考慮すると、やはり池原かなと。長年慣れたSバンタムから階級を下げ、そこで進退を賭けて元世界王者とのチャレンジマッチに勝利し、日本タイトルも奪取。欲を言えばタイトル返上は1度防衛してからにして欲しかったですが、「努力」という言葉が似合うのは彼じゃないでしょうか。
KO賞は「該当者無し」も考えたのですが、今年3戦して全てKO勝ち、しかも日本ランク入りを決めた10/9、そして12/30の逆転KOが鮮烈だった鮫島を大抜擢。倒しっぷりの鮮やかさは健文Eトーレス[大鵬]も捨て難いのですが、彼の見栄えするKO勝ちは噛ませタイ人専門なので及ばず。他の候補としては右ストレートが冴えた堀川謙一[SFマキ]など。
新鋭賞は、キャリアからすると「?」かも知れませんが、三谷が本格的に実績とステータスを上げていったのは今年からなので“遅れて来たルーキー”という事で。
年間最高試合は当然徳山×ナバーロ、名城×カスティーヨ、高山×メロも候補なのですが、我々の想像を超えたパフォーマンスを試合の最初から最後まで継続し、しかも決定的場面を作って締め括った長谷川に敬意を表して。まぁMVP受賞者とその他部門賞受賞者との差がここでも出た、という事ですね。

新人選手部門

MVP:該当者無し
技能賞:橋詰知明[井岡]/山本敏充[江坂]
殊勲賞:木村友紀[明石]
敢闘賞:金丸清隆[正拳]
努力賞:山本剛嗣[守口東郷]
KO賞:千葉龍史[塚原京都]
新鋭賞:脇本雅行[高砂]
年間最高試合:太田真行×森下裕己(9/2・大阪府立第2競技場)

日本新人王を出せなかった以上、MVPの受賞資格者は無し。厳しいですが、勝負の世界ですから敗者に栄冠は輝かず。その代わり、技能賞の枠を増やして事実上の準MVPとしました。西軍代表戦敗退ながら今年度新人王戦PFP候補筆頭の橋詰と、全日本決勝で他の階級とレベルの違う技巧戦を展開した山本(敏)を。
殊勲賞は、事実上の第3席とするなら他に候補もいるのですが、「殊勲」という観点を考えると選考が一気に難しく……。KO賞に回ったSL級の千葉やW級の若林豪[Gツダ]など、西日本決勝で優勝候補を破った選手も有力だったものの、西日本決勝以降の試合内容などを加味して木村に。千葉は全日本決勝に出てさえいれば、殊勲賞どころかMVPの最有力だったんですけどね。
敢闘賞=金丸は、全日本決勝をご覧になった方ならご理解下さるのではないかと思います。
努力賞は、受賞から漏れた他の西日本新人王たちとの競合となり大変に悩んだのですが、昨年からのステップアップ度、トーナメント全試合を通じての試合内容などを“写真判定”で考慮した結果、こうなりました。
KO賞は考慮の余地無し。新鋭賞は「新人枠の中の有力新人」という事で、来年度新人王戦の最有力候補を1人選ばせてもらいました。
年間最高試合は、府立第2で実際にこの試合を観ていた人には納得してもらえるのではと。技術水準で言えば西軍代表戦の林×橋詰の方が上なんだろうなぁとは思いますが、不特定多数の観客を興奮させ、満足させるプロスポーツのコンテンツとしてはこちらの方が上じゃないでしょうか。

西日本地区年間最優秀興行

「SENRIMA SUPER FIGHT 19」(3/25:ワールド記念ホール/千里馬神戸主催)
次点:「HonmamoN(ホンマモン)”アジア選手権グリーンツダVSフィリピン選抜】”」(10/9夜:IMPホール/Gツダ主催)

3/25は試合内容、マッチメイク、タイムテーブル構成、アトラクションのレベルの高さ、無料パンフレットの内容充実度など、あらゆる要素において他の興行とは別次元のクオリティでした。世界戦興行だけででもこの水準が維持できるなら、ボクシングがK−1総合格闘技を駆逐するのに3年はかからないでしょう。プロボクシングのポテンシャルの高さを改めて実感させられました。
次点は、マニアの皆さんには説明不要でしょう。フィリピン人選手のガチぶりが業界内で話題沸騰となった“伝説の興行”です。試合内容のクオリティの高さは勿論、様々なボクシング界の欺瞞ぶりを鮮やかに浮き彫りにしたという上でも意義深い一夜でした。