駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第6試合・フェザー級8回戦/●上原裕介[大鵬](6R1分10秒負傷判定1−2)松村勝[ウォズ]○

上原は12勝(6KO)3敗1分の戦績。デビュー以来、新人王戦やタイトル・ランキング戦線とは一線を画した独自の活動ながら、05年から丸2年で5勝1負傷ドローと無敗で、目下のところ好調を長期維持している。
松村は7勝(3KO)4敗の戦績。昨年はA級昇格直後にタイ国遠征を敢行するなど、厳しくも充実した1年を過ごしたが、A級初勝利はお預けのまま。「A級の門番」とも言うべき今回の相手に如何にして挑むか。
1R。松村が機先制して前、前へ出る。上原を終始押し気味にしてフック、ストレートで攻勢。主導権も完全に掌握して優勢。上原はフックなどで迎撃したが後手に回った。
2R。松村がこのラウンドもアグレッシブ。左ストレートを再三クリーンヒットさせて上原を大いに効かせる。バッティングで負傷した上原はドクターチェック後に圧力をかけてショートアッパーで猛攻に出るが、ここも松村が左ストレートで迎撃。
3R。このラウンドも松村の圧力攻勢が有効。度々上原をロープへ詰めてストレート中心に痛打を浴びせる。上原もアッパー中心に強力なパンチで手数攻めに出て、クリーンヒットで効かせるシーンを2度作り互角だが、あからさまなプッシングで減点1のペナルティ。
4R。ショートレンジで激しい打撃戦。松村もワン・ツー中心にヒット、有効打を連発させるが、上原はアッパー交えたワン・ツーで攻め立てて互角以上の形勢に。右ストレートでクリーンヒットも奪った。
5R。ショートレンジ乱打戦。松村が先手で手数を出してカウンター気味にヒットを量産するが、上原の重い右が度々ヒットして松村の動きを止める。互角の形勢。
6R。このラウンドも激しい打撃戦となったが、形勢に大差ないままドクターストップ。上原は5Rにもバッティングで傷を作っており、致し方ない決断か。
公式判定は野田58-57、宮崎57-56(以上、松村支持)、坂本58-57(上原支持)のスプリットで松村。駒木の採点は「A」57-56「B」59-57で松村優勢。
松村が前半戦、アグレッシブな圧力攻めで機先を制しポイントを獲り切ると、相手の減点や負傷による試合打ち切りにも助けられてギリギリで逃げ切った。後半は本来の地力差を見せ付けられて劣勢となったし、相変わらずディフェンスの甘さも目立つが、この1勝は、あくまで記録上のものとは言え大きい1勝。
上原は相手の圧力攻勢の前に後手に回り、前半戦を落としたのが全て。やや厳しい裁定の減点1や、逆転寸前のタイミングでの負傷判定など、不運もあった。