駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sフェザー級契約ウェイト(57.5kg)8回戦/○児島芳生[明石](判定2−1)森川弘幸[高砂]●

児島は8勝(2KO)8敗2分の戦績。4回戦脱出に3年半、6回戦からA級昇格を果たすまで2年と相当の時間を要したが、昨年11月に当時日本1位だった武本在樹[千里馬神戸]を僅差の負傷判定で降す大番狂わせを演じて一気に台頭した。その後、今年3月に在樹の実弟・康樹に敗れてランキングを下げたが、現在も日本フェザー級9位をキープしている。しかし今回、ノーランカーに連敗という事になればランキング陥落は必至。今日は絶対に落とせない試合だ。
対する森川は7勝(1KO)2敗1分の戦績。4回戦時代は新人王戦で2年連続予選敗退と平凡な戦績に終始したが、昨年9月、12月に6回戦を連勝すると、今年4/15には初の8回戦をプロ入り初のKO勝ちで飾るなど、近況は進境著しい。勢いに乗って一気に日本ランキング獲得を狙う。
1R。森川がステップ使いつつジャブ連打でリズム取り、得意のアッパーを打ち込むタイミングを窺う。しかし児島はジャブを被弾するも構わず距離を詰めてショート攻勢。ヒットはなかなか稼げないがラウンド後半には圧し気味に持っていって形勢は互角。
2R。クロスレンジでの乱打戦へ。森川が細かく手数を浴びせフック連打などで打ち勝つが、児島はボディフックを重く響かせながら攻勢点では優勢。手数争いでも食い下がり、このラウンドも優劣微妙。
3R。クロスレンジの猛烈な手数合戦。森川が細かくヒット、カウンターを奪うが、児島はこれに怯まず同数以上の反撃を繰り出す。攻勢点と主導権支配で小差リードしたようにも見えるが、このラウンドもジャッジの見方は割れそう。
4R。まるで最終ラウンドのような打ち合い。森川がラウンド前半、細かいワン・ツーで手数・ヒット数リードするが、児島の圧力衰えず、後半には重いフックを上下に決めてヤマ場を作り互角に。
5R。激しい手数合戦が続く。森川の激しい抵抗も構わず攻め立てる児島が主導権を握る形。右ショートアッパーで手数を稼ぎ、ラウンド終盤には右ストレートにボディブローで痛打浴びせる。
6R。児島の攻勢が目立ち始めた。踏み込みざまの右ストレート、ボディへのショート連打で確実に効かせると、ロープに詰めて手数集中。森川はラウンド後半に一旦反撃に出たものの、目立った戦果は挙げられず。
7R。森川がラウンド前半、足を使い距離を開けてからの手数攻めで主導権奪おうとするが、児島は左ボディを効かせてこれを阻止。ラウンド後半には圧力を増し、ゴング直前には連打を相次いで浴びせていった。
8R。児島がラウンド序盤から自分のペースで圧力攻勢。森川の激しい抵抗に手を焼きつつも、右ストレートの有効打などリードを譲らず。ラウンド終盤には至近距離で乱打戦となるが、これは形勢互角。
公式判定は北村78-76、野田77-76(以上、児島支持)、原田77-75(森川支持)のスプリットで児島が辛くもランキング防衛に成功。駒木の採点は「A」78-74「B」80-75で児島優勢。判断の割れそうなラウンドが多く、手数で勝った森川が肉薄するも、あと一歩及ばずの形。
児島が相手の手数に苦しみながらも持ち前の圧力と強打攻勢で接戦をモノにした。ランキング奪取以来、自分のボクシングに全く疑問を持っていない様子が窺えて、これが頼もしい。今日は右ストレート、左ボディが良かった。
森川は手数攻めで大健闘したが、相手のペースに付き合わされて主導権を手放してしまった。それでも目立って押され気味になるラウンドは少なく、手数では有利に展開したものの、確実にポイントを奪い取るだけの見せ場を作れなかった。