駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・Sフェザー級8回戦/●岩下幸右[Gツダ](判定1−2)佐梁孝志[明石]○

岩下は6勝(3KO)6敗1分の戦績。デビューは04年。4回戦時代から勝率五分前後を右往左往する状況が続いているが、キャリア序盤に敗れた相手には日高慎一[尼崎]、武本康樹[千里馬神戸]などの名前も。06年にB級昇格を果たすが、その後もアウェイ中心の不利な条件での試合が続いた事もあって勝率は伸び悩んだ。それでも今年4月には昨年度のSフェザー級日本新人王・清水秀人[木更津GB]を敵地で破る殊勲を挙げてA級昇格。今回は初めての8回戦である。
佐梁は6勝(1KO)9敗の戦績。広島三栄ジムから00年にデビュー。新人王戦は2度挑戦するも西部日本予選で敗退。6回戦に上がってからは粟生隆寛[帝拳]や青空西田[新日本徳山]などホープの相手を務めるなど、日陰の存在に追いやられる。それでも途中、ジム移籍も挟みながらも2年半・6戦を費やしてB級脱出に漕ぎ着けた。8回戦でもいきなり玉越強平[千里馬神戸]と当てられるなど厳しいマッチメイクで戦績を崩しているが、A級3戦目となる今回、そろそろ白星が欲しいところだろう。
1R。ラウンド前半は岩下がジャブをロングレンジから巧く決めて主導権を確保する。後半から佐梁も強引に踏み込んでいって左右フックでヒット、有効打を重ねて主導権も奪った。ジャッジ的には微妙。
2R。佐梁が距離潰していって接近戦。佐梁が左カウンターフックやボディブローで見せ場を作る。岩下はタメのあるフックを打ち込んでパンチ力をアピールするが、このラウンドは主導権をやや見失い気味。
3R。佐梁が圧力かけて強引にフック、アッパーを回転よく打ち込んでいく。岩下は巧みなパーリング中心でこの攻勢を捌こうとするが、やや持て余し気味で被弾してしまう。それでも岩下は単発気味ながらフック、アッパーを力強く打ち込んで食い下がる。
4R。佐梁ペースのボディ合戦。佐梁は左で先制すると、手数攻めで先手を獲り、5連打をヒットさせるなど見せ場も作る。岩下はアッパーなど強打を打ち込むが力みが目立つ。
5R。佐梁の圧力が目立つ。ガードされながらも愚直に打ち込む手数をヒットに繋げて数的優位。ラウンド終盤に左フックで有効打を追加。岩下は距離を開けて戦いたいが思うようにいかない。
6R。密着しての打撃戦。佐梁は相変わらずフック、アッパーで愚直な手数攻め。岩下はアッパーでクリーンヒット2発浴びせて優位に立つが、やや狙いすぎの感。ラウンド終盤には左フックを被弾してしまう。
7R。このラウンドも似たような展開が続く。佐梁は開き直ったように愚直な手数攻めを続行し、ヒット・有効打に繋げてゆく。岩下も時折キレのある連打を見せて食い下がるが明確なヒットに欠ける気も。
8R。頭から突っ込んで戦う佐梁主導の展開。左フック、右アッパーが度々岩下の顔面を跳ね上げる。岩下もラウンド終盤にボディを効かせて挽回したが、明確なヒット数で及ばず確固たるリードを奪うに至らない。
公式判定は原田78-76、坂本77-76(佐梁支持)、北村77-76(岩下支持)のスプリットで佐梁。駒木の採点は「A」78-74「B」79-76佐梁優勢。
佐梁が強引な試合運びながら回転力のある手数をヒットに結び付けて嬉しいA級初勝利をマーク。技術水準を考えると、今後もA級では厳しい戦いを強いられそうだが今日は彼らしいファイトスタイルで彼らしい勝利。
岩下は距離を潰され、泥仕合に引き摺り込まれて大苦戦。手数をガードされて主導権を失い、強引な単発大振りに頼る場面もあってポイント差以上の内容劣勢だった。ただ、今日は持ち味が全く活かせておらず「負けた」というよりも「勝たれた」試合と言うべきかも知れない。