駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第8試合・Sウェルター級10回戦/○野中悠樹[尼崎](判定3−0)赤澤慎司[神拳阪神]●

メインイベントは中量級のランキング争奪戦。赤澤は4月の山本大五郎戦に続いて、連続してのランカー挑戦である。
野中は13勝(5KO)6敗2分のサウスポーで、現在Sウェルター級のOPBF10位、日本2位。99年にデビュー、01年・02年と新人王戦にエントリーするが、少人数のトーナメントを勝ち抜くに至らず、4回戦時代は勝率5割近辺をうろつく平凡な戦績に終始した。しかし6回戦を2勝1分でクリアすると、A級でも4勝2敗とマズマズの成績をキープしている。層の薄い階級と言う但し書きがつくが、日本Sウェルター級のランカーとなって既に久しい。
対する赤澤は10勝(5KO)3敗。02年にデビューし、無敗のまま03年度西日本Sライト級新人王となる。地区対抗戦に敗れて後楽園で戦う事は叶わなかったが、6回戦を連勝でクリア、8回戦に上がってからも五分以上の星勘定をキープしている。ただし、中森宏[平仲BS]、山本大五郎[金沢]といったバリバリのランカー級選手には完敗を喫しており、見えない壁との戦いが続いている。今回は敢えて階級を2つ上げ、Sウェルター級のランキングに挑戦する。勝算の程は如何か。
1R。ロングレンジで静かに牽制中心の展開。野中がジャブを細かく放つが、赤澤は逆に右ストレートをヒット。終了ゴング前、野中はジャブ→アッパーを放つも不発。
2R。このラウンドも様子見。牽制が長い。散発的な打ち合いが発生するが、ジャブ、ストレート中心にお互い同程度の戦果を挙げる。均衡した内容のラウンドが続く。
3R。赤澤、いきなりロープ際で左アッパー→右フックのコンビをクリーンヒットさせて大チャンスを作るが、やや消極的な攻めで取り逃がしてしまう。野中も渋太く手数を返し、逆に赤澤を追い回す場面も。
4R。再び慎重な牽制と様子見が繰り返される。野中が赤澤の無造作に下がるガードを咎めて左ストレートを有効打。赤澤はジャブを散発的にヒットさせる。
5R。ジワジワとにじり寄る赤澤に対し、野中は悠然としたステップ、そして挑発的な仕草も交えて右ジャブ、フック、左のショートと細かくヒットを集める。赤澤は終了ゴング前になって漸く軽く3発ヒット。
6R。赤澤の攻勢を野中は難なく捌き、中途半端なボディワークに頼る赤澤に左を二度、三度とクリーンヒットさせる。赤澤も強振で反撃するが、野中のボディワークは巧く機能してほぼ無傷。
7R。お見合いの長い異様な展開。両者リングをグルグルと歩き回りながらチャンスを窺う。野中がラウンド序盤に右アッパー2発で先制も、赤澤は右アッパー、フックで反撃。だが終了ゴングとほぼ同時に野中が有効打を見舞ってまたも互角の形勢に。
8R。序盤戦から既に鼻血が大量に流れている野中は打ち合いを避けたい様子。だが赤澤はお構い無しにラウンド序盤、ラッシュを仕掛けて先制。中盤からはまた様子見が長くなるが、打ち合いを互角以上にまとめていった赤澤のラウンド。
9R。消耗戦の様相。赤澤がロープに詰めて強打を見舞い先制、その後は単発強打の打ち合いとなり、互いにジャブ、ストレートを数発ヒット。
10R。両者大味な乱打戦から。その後小康状態となるが、一瞬気を抜いてガードを下げた赤澤を見逃さなかった野中がクリーンヒットを連発。その後も野中が先手で攻めてヒット数で優勢。赤澤も激しく反撃したが及ばず。
公式判定は原田98-93、坂本98-94、宮崎96-94の3−0で野中。駒木の採点は「A」96-94「B」97-96で野中優勢。
様子見、睨み合いの極めて長い異様な展開となったが、野中が老獪な駆け引きとタイミングよい単発強打で小差判定勝ち。赤澤は肋骨負傷のハンデを圧して戦ったとの事だが、中盤戦でまとめてポイントを失ったのが痛かった。