駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第7試合・フェザー級契約ウェイト(56.0kg)8回戦/○西正隼[正拳](判定3−0)松村勝[ウォズ]●

セミファイナルはこの興行唯一の8回戦。
西は7勝(4KO)6敗2分の戦績。02年にデビューするが、新人時代は勝ったり負けたり、04年の新人王戦でも2回戦敗退に終わっている。6回戦に上がっても連敗スタートと冴えなかったが、06年から6回戦で連勝、前回7月には8回戦で初勝利を挙げた。
松村は8勝(3KO)4敗でサウスポー。03年にデビュー、同年3連勝で04年の新人王戦に挑むも初戦敗退。再起戦でB級に昇格、6回戦を3勝1敗でクリアすると、06年6月にはタイ国遠征に出て世界ランカーのナパーポンに挑んだ(5RTKO負け)。その後、再起戦に敗れるも、今年4月には上原裕介[大鵬]相手に幸運な負傷判定ながらA級初勝利をマークしている。
1R。ラウンド前半は両者様子見に費やしたが、やがて松村が圧力をかけて右ボディで先制する。だが西もワン・ツー決めて挽回し、更には左フックのクリーンヒットでワンパンチ・ノックダウン。更に畳み掛けて2度目のダウンを奪ったが、ゴングの一瞬後という判断で、こちらはノーカウント。
2R。両者短期決戦を意識したような打撃戦に。松村も右フックで見せ場作るが、西は左フック、右ストレートでクリーンヒットを連発。ラウンド終盤にはやや膠着した展開となるが、終了ゴング前、今度は松村が左フックをクリーンヒットさせて西をグラつかせた。
3R。松村はガード固めつつ一発狙い。だが西はお構い無しとばかりにガード上へ手数を浴びせ、間隙を突く形でヒット、有効打の山。ラウンド終盤には松村も手数を返すが、ヒット数とダメージ量の差が如何にも大きい。
4R。打撃戦が続く。西が先手でワン・ツー連打、左ボディとアグレッシブに攻め立てる。松村の反撃は回転力で及ばず、ショートフックで一瞬怯ませもするが、決定的なチャンスに持っていけない。
5R。松村はガードを固めて圧力をかけつつのフック攻勢。西はこれに対してワン・ツーを細かく刻んで手数で大差。松村は挫けず抵抗して右フックをクリーンヒットさせるが、西を足止めする事は出来ない。
6R。このラウンドも圧力かけてチャンスを窺う松村に対し、西は手数、手数で攻めて主導権を支配。しかし松村はこのラウンドでも右フックをクリーンヒットさせてチャンスメイク。手数の割にヒット数の少ない西との比較で形勢互角とする。
7R。このラウンドも打撃戦。西が先手で手数攻め。松村はカウンターと打ち終わり狙い。西が右ストレートを出会い頭でクリーンヒットしてリード。松村も力強く抵抗するが、西のガードを破れない。
8R。ショートレンジ打撃戦。巻き込み気味のフックが多く粗い印象も残るが、気合の入った熱戦で会場を沸かせる。共に決定打の無いまま、西の手数リードだけが明確になって試合終了。
1Rに松村がダウン1回。
公式判定は北村79-72、坂本79-74、大黒77-74の3−0で西。駒木の採点は「A」78-73「B」80-73で西優勢。
西は以前に比べて回転力を増して来た印象。1Rでダウンを奪いKO寸前の状況を作りながら、その後のラウンドでクリーンヒットを浴びてヒヤリとする場面もあるなど詰めの甘さも目立ったが、ポイント争いでは手数の多さで圧倒した形。
松村はいつも通り圧力かけて前進、前進。しかし数的劣勢を覆すような機会を作れず、ズルズルと判定負け。8回戦での見通しはまだ明るくなりそうにない。