駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行の概要及び雑感

長谷川&池原のW世界戦から1ヶ月、西日本地区で久々の興行はミドル級のチャンピオン・カーニバル。会場が姫路木下ジム常打ちの姫路市中央体育館ではなく、高砂市総合体育館となったが、これは選手提供を受けたJM加古川拳と明石のホワイトフォックスジムとの地理的バランスを取ったものだろうか。
ただ、この季節にJR宝殿駅から徒歩20分の道程はかなり過酷だったと一般ファンの視点から付記しておく。筆者は危うく風邪を引きかけたほどだ(苦笑)。これで会場と駅を乗合タクシーでピストン輸送してくれれば随分助かるのだが、道路事情も良くないとあっては夢の話か。高砂に限らず東播地区のボクシング興行は、劣悪な交通アクセスとの戦いでもある。姫路の体育館もJR姫路駅から徒歩では30分ほどかかる。恐らくプロモーター側にとっても頭の痛い課題ではあるのだろう。
さて、試合のラインナップだが、こちらはまさに見所十分。メインの日本ミドル級タイトルマッチは、王者側陣営が自ジム公式サイトに「王者苦戦必至」という展望記事を載せるほどの危険な指名挑戦者・鈴木典史を迎えての大一番。これを勝てばOPBF、更には世界ランクも視野に入って来るだけに、ボクシング人生の分岐点となる重要な一戦となるだろう。セミには最新ランキングで日本1位・東洋2位まで序列を上げて来た西尾彰人[姫路木下]出場の10回戦、前座にも注目の逸材・内海俊忠[姫路木下]出場の8回戦や、昨年度の西日本新人王・真木大作[JM加古川]が、今や西日本最強のノーランカーとなった石東正浩[Gツダ]に挑む6回戦と好カード揃い。筆者の知人にも遠方から駆けつけた猛者が何人もいたが、確かに遠出してでも生で観たくなる興行だ。
なお、今回も姫路木下ジムは公式サイトでチケットを前売割引販売するサービスを実施していた。最近は他でも同様の試みが行われているが、もっともっと業界全体に普及してもらえればと思う。せっかくの公式サイトなのに電話番号とメールアドレスを掲載して「お問い合わせ下さい」だけでは実に勿体無い。人気低迷が叫ばれる昨今、ネット販売が集客に劇的な効果が挙がるとも考え難いが、営業にまでマンパワーを割けない業界の現状からして、ゼロに近いローコストで広く一般客層にアピールできる手段は他に無いはずだ。同じチケットを1枚売るのでも、会場に来るかどうかすら分からない義理買いの身内や、そもそも“客”ですらない同僚選手に売るのと、これからカネを落としてくれる可能性を秘めた新しい顧客を新規開拓するのとでは随分と値打ちが違う。


※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。また、タイトルマッチに限り、現在WBAで導入が検討されているハーフポイント制(ラウンドマスト&微差のラウンドは10-9.5で採点)を「C」採点として実験的に導入しています。