駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

吉山博司・松本憲亮の両エースが第一線を退き、自主興行ブランド「南国奄美ハブFight」が休止状態にあったヨシヤマジム。しかしこの春に女子専門ジムとしてJBC加盟を果たした京都のフュチュールジムと提携する形で新たな興行ブランドを立ち上げた。トップ選手の層が薄く、単独興行が難しいヨシヤマジムと、看板選手を抱えつつも同じく選手層が薄く、また新興ジムのためにプロモーターライセンスを取得できないフュチュールジムの利害が一致した形。興行のタイトルは女子ボクシングの未来を見据えての命名だろう。
今回プロボクシング興行初使用となった千里中央よみうり文化ホールは、北大阪急行(地下鉄御堂筋線)の千里中央駅から徒歩1分の好立地。阿倍野区民ホールとほぼ同規模のシアター型会場である。やや老朽化が進んではいるが、どこからでも見易い設計になっており、キャパシティも含めてボクシング向けの会場と言えるだろう。問題点はアクセスの悪さと交通費の割高さで、フュチュールジムのある京都から応援に駆けつけるには少々骨が折れる地理的条件である。やはりIMPホールを使用するのがベストだろう。
さて、この日は女子2試合を含め、全10試合・計50Rという“こってり”したボリューム。メインは、フュチュールジムのエース・夛田悦子出場の8回戦。関西凱旋となる今回は無名タイ人相手の調整戦で、今日はひとまず後援者への“お披露目”といったところだろうか。セミ格には男子6回戦3試合がラインナップ。昨年に新人王戦を盛り上げた面々が、冗長になりかねないラウンド数の興行を引き締めるという重要な役回りを務める。
ところでこの日、会場に向かう電車の中で知人の選手に声をかけられ「チケットが完売していて、残るは1万円の券が数枚」という情報を聞いて仰天。慌てて会場へ駆けつけると、果たして「当日券完売」の張り紙が。どうやら夛田選手を中心とする後援者関係の前売りが好調すぎて、当日券、特に安い席種のチケットが殆ど用意出来なかったらしい。会場の入口前は、呆然とした顔で佇む人や、チケットの確保に奔走する関係者で騒然としていた。ここ最近、西日本地区で当日券まで完売したのは、IMPホールで行われた田中聖二[金沢・故人]×名城信男[六島]の日本フライ級タイトルマッチと、池原信遂[大阪帝拳鳥海純[ワタナベ・引退]の日本バンタム級王座決定戦の2回だけ。プロモーターには失礼ながら、まさかB・C級主体のノンタイトル興行で札止めになるとはマニア・関係者にしてみても想定の範囲外で、筆者も大いに焦らされた。八方手を尽くした結果、どうにか入場が叶ったが、中には諦めて帰った人もいたそうだ。ボクシング人気低迷の折、チケットがバカ売れするのは慶事には違いないのだが、せめて当日券として立見・自由席券を数十枚は確保しておいてもらいたいし、それも叶わないなら周知の徹底を図ってもらいたかった。

※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。
※女子の試合は1R2分。また、戦績は原則的にJBC公認後のキャリアのみを掲載します。