駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行全体の総括

メインは攻めに逸った大振りと、主導権を失った状態での攻めあぐみを繰り返す鈴木と、実利を求めた消極的なファイトをもってして格下相手を塩漬けにした高橋とで大凡戦という結末に。いくら6回戦とはいえ、この試合で興行を締め括られても、観客には疲労感しか残らない。両者に観客を満足させるメインイベンターの責務とは何か、という面から猛省を促したい。他の6回戦2試合も一瞬のKOシーン以外は淡々とした戦況の連続で見せ場に乏しく、メインを含めた3試合揃って「早く終わったのだけが救い」という内容に終始したのは極めて残念である。相手役を務めたタイ人の質も芳しくなく、JBCは彼らの今後の招聘については慎重に判断する必要があるだろう。
前座では、やはりスリル満点のシーソーゲームとなった新人王予選が特筆されるべきだろう。粗さと若さが生んだ名勝負という感も否めないが、「当たれば大ダメージ」という武器を持った両者の戦いは、ボクシングの持つ魅力を具現化した内容で、ましてや興行前半の4回戦カードとあっては文句のつけようのないところ。勝った山本は勿論、敗れた大村も来年の再挑戦を含んだ今後の動向に注目したい選手である。