駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行概要および雑感

今期の新人王戦も、いよいよ西軍代表を決定するためのトーナメント戦が開始。この日は西軍代表選に先立って行われる地区対抗戦。東日本で言えば準決勝に相当する位置づけとなる。西軍代表決定までは西日本・中日本・西部日本3地区によるトーナメント戦で、シード枠・西軍代表決定戦の開催権は3年一周の持ち回り、地区対抗戦に回る2地区のホームorアウェイは、3年に1度対戦する度に交互で持ち回りとなっている。そして今年は、西日本と西部日本による地区対抗戦が福岡で行われ、この勝者が中日本地区代表と名古屋で開催される西軍代表決定戦で対戦する順番である。つまり西日本地区は連戦アウェイという実に過酷なスケジュールを強いられる“受難の年”という事になる。6年前、今年と同じスケジュールで行われた新人王戦は、全日本決勝で大場浩平、中森宏らを擁する西軍代表が互角以上に大健闘しておりゲンの良さもあるのだが、西日本代表にとってはその場に辿り着くまでに地獄を垣間見る事となる。全12階級のうち後楽園ホールのリングに立てるのは果たして何人残るだろうか。例年地区代表戦は西日本地区優勢だが、アウェイの不利もあって予断を許さない。
今回の会場となった福岡県・クローバープラザ春日は、博多駅から在来線に乗り換えて3駅15分ほど・各駅停車しか止まらない「春日」駅から至近にある公営施設。典型的な公共事業で建てられたハコモノといった風情の近代的施設だが、それだけあって造りも立派なもの。キャパシティ1000程度の大ホールも、ひな壇式の移動式客席を設置できるなど、観客に優しい設計になっている。アクセスの微妙さと周辺に飲食店ほぼ皆無の不便さは覆い隠しようもないが、ホールそのものだけは大阪のキタ辺りに移転させたいほどの良い会場だった。詳細はかなり違うが、アクセスがローカル駅一本とか周囲の閑散さなど、雰囲気だけなら高砂市総合体育館と相通じるものもある。
さて、試合の方は全12階級のうち、西日本代表が負傷リタイヤしたフェザー級と、西部日本代表のエントリーがいなかったライト級を除いた10階級で実施された。ルールは基本的に西日本と同様だが、2R途中までの負傷ドローになった場合は、負傷していない方の選手が勝者扱いとなるルールが採用されている。また、赤コーナーに西部日本代表、青コーナーに西日本代表という形で固定しての入場とされた。
※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。西部日本地区の公式ジャッジの基準は「A」と「B」の間で若干「B」寄りの基準とお考え下さい。

興行全体の総括

第6試合は負傷判定となる荒れた展開の末に、寺田がアプセットを決めてアポロ勢の勝ち越しに貢献。中川は傷の影響もあったろうが、3Rから明らかに動きに精彩を欠いてしまい、地力上位ぶりを見せるべき所で逆にポイントを失ってしまった。この再起失敗で今後の展望もかなり厳しいものとなったと言えるだろう。寺田はひたむきなアグレッシブさが勝利を呼び寄せた形だが、内容面では大きな前進があったとは言えず、恐らく8回戦で組まれるであろう次戦が試金石となる。
前座では第2試合の岡本、第4試合の山中など、キラリと光る素質を感じさせる選手はいたものの、まだ他の要素に多くの課題を残しており、これからの精進次第といったところ。良い意味で期待を裏切ってくれる好選手・好試合が見られなかったのは残念である。

第6試合・ライト級6回戦/●中川知則[進光](4R1分45秒負傷判定0−3)寺田允[アポロ]○

※中川が1Rに偶然のバッティングで負った右目横の傷が酷くなりドクターストップ。負傷判定となった。
4Rまでの採点で争われた公式判定は宮崎40-37、大黒39-37、坂本39-37の3−0で寺田が殊勲の判定勝ち。駒木の採点は「A」39-37寺田優勢「B」39-39イーブン。ラフファイターとアウトボクサーの組み合わせ、ジャッジの判断も割れるかと思われたが、意外なほど明らかなユナニマスデシジョンに。中川の初手から軽打打ち逃げで判定勝ちを狙うファイトスタイルがかなり嫌われた模様。