駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ12回戦/●《王者》レブ・サンティリャン(4R2分21秒TKO)日高和彦《挑戦者・同級5位》○

Wメインの2試合目は、ウェルター級のOPBF戦。日本人相手に3連勝中のフィリピン人王者に、第1回「ビー・タイト」王者の日高が挑む。
王者のレブ・サンティリャンはここまで21勝(15KO)1敗1分。防衛を重ねてWBCランキングも上昇中で、現在7位。昨年8月、大阪でのVS丸元大成戦を観戦したが、積極的にプレッシャーを掛けてゆく強引なファイトスタイルが印象的だった。ヒットも多く奪うが被弾も多いタイプで、WBCランク一桁のOPBF王者にしては、比較的攻略し易いタイプかも知れないとは思っていたが……。
挑戦者の日高は20勝(14KO)4敗の戦績。03年10月には、クレイジーキムの持つ日本Sウェルター級王座に挑戦(8RKO負け)したキャリアがある。「ビー・タイト」大会で日本ランカーを相手にシビアな戦いを繰り広げて来た自信をバネに東洋太平洋王座と世界ランク奪取を目論む。
1R。中間距離でゴツゴツとワン・ツーをぶつけ合う重厚な打撃戦。前半に日高が右ストレートでクリーンヒットを奪うと、王者も反撃に出て不完全ながら数発ヒットを奪っていった。
2R。このラウンドも中間距離。互いにクリーンヒットを浴びせて効かせ合う、激しく重い戦いになった。しかし途中から日高が完全に手数で上回り、ガードの上からでもビシビシと加撃してゆくシーンが目立つ。アグレッシブさでは明らかに日高が優勢。
3R。日高がガードの上から連打を浴びせて主導権を掌握。時折、王者からの反撃を浴びてヒヤっとさせる場面もあったが、ゴング直前には、強引に薙ぎ倒すようにしてダウンを奪った。
4R。劣勢を自覚した王者は、一か八かのKO狙いでアッパーカットを連発。日高はこの猛攻に気圧されつつも決定的な被弾は避け、逆にガードの緩んだ顔面をワン・ツーで打ち抜いて文句無しのダウンを奪う。立ち上がるもグロッキー状態の王者を冷静に仕留め、このラウンド2度目のダウンを奪った所でレフェリーが試合を止めた。新日本木村ジム応援団のスタンディングオベイションと大歓声が会場中に響き渡る中、新王者が歓喜を全身でアピールしていた。
それほど実力差のあるようには見えなかった2人だが、日高はその僅かなアドバンテージを、上手くダメージの差に直結させていった。勇敢さで掴んだ勝利と言えるだろうか。ただ、洗練された判りやすい強さが感じられ難かったのも事実で、新王者の真価は次戦の湯場忠志戦(この日、湯場サイドが勝者宛の挑戦状を持参)で問われよう。