駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第6試合・Sバンタム級10回戦/○金井彰廣(7R1分25秒負傷判定3−0)児玉卓郎●

大鵬ジムの大将格・金井彰廣が登場。現在日本ランク3位で、戦績は22勝(18KO)2敗。2回の敗戦はいずれもタイトルマッチで、最近は格下相手の調整戦が続いている。
一方の児玉は9戦(5KO)3敗3分の戦績で、03年度の新人王戦ではSフライ級の西軍代表になっている。最近はフライ級〜バンタム級で勝ったり引き分けたりのキャリアを積み重ねている。今回は厳しい条件でのランカー争奪戦に挑む。
1R。見比べてみると、やはり金井の体格が一回り大きく映る。2階級の差は歴然。試合の方は、金井が児玉の動きを見切りつつ、ジャブ中心の攻め。右フックをクリーンヒットさせるなどして攻勢に出るが、被弾も多い。終盤には児玉の右ストレートをまともに浴びてダウンを喫する。
2R。金井が前半は右ストレートを有効打に主導権を握っていたが、児玉もワン・ツー中心の攻めで手数を稼ぐ。終盤には児玉の強打で金井のヒザがガクンと折れる場面も。ジャッジは微妙だろう。
3R。このラウンドも両者手数多くアグレッシブ。金井の左フック、右アッパーが強烈に決まる。児玉もショート3連発をクリーンヒットさせて抵抗するが、全体的には金井が主導権を握ったラウンドだった。なお、このラウンドに児玉はバッティングで傷を負う。
4R。超接近戦の攻防で、金井の左フックが効果的に決まる。児玉のスタミナを削っておいて、そこから上下左右に連打を浴びせる。だがその金井、ガードが甘いのが難点で、度々強烈な反撃を食ってヒヤリとする場面もあった。
5R。両者近距離でショート合戦だが、総合力で勝る金井がヒット数、与ダメージ量で優位に立つ。児玉もクリーンヒット気味の当たりがいくつか合ったが、ジャッジで逆転するには及ばないか。
6R。中間距離で金井がジャブ、ストレートを小気味良くヒット。児玉もクリーンヒット連発で応戦するが、後半接近戦に転ずると、アッパーを連発した金井が優勢に。
7R。このラウンドは序盤から児玉がアグレッシブに攻め、ワン・ツーをヒットさせて主導権を握る。金井が懸命に抵抗する中で、レフェリーが児玉が3Rに負った傷をドクターに見せると、試合終了とのジャッジ。勝負は負傷判定に持ち込まれた。
公式判定は68-65、67-65、67-65の3−0で金井。しかしこれは地元判定気味か。もしも中日本地区での試合なら、スコアはそのままで勝者が入れ替わっていただろう。駒木の採点では66-66のドロー。
何とか勝った金井だが、2階級下のノーランカーに大苦戦。ディフェンスの甘さに定評のある選手が相手なのだから、パンチが当たるのは当たり前。問題はヒット数に負けず劣らずの被弾数だろう。このような試合を続けていては、念願のタイトル奪取は見果てぬ夢で終わってしまうだろう。児玉は同情の余地のある結果ではあるが、やはりディフェンスの甘さはA級選手としては大きな懸念材料である。