駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第5試合・バンタム級8回戦/○健文・エスプロシボ・トーレス(2R1分46秒KO)サクラロン・ウォンラピン●

大鵬ジムのホープにしてヘルマン・トーレスJr.の健文トーレスが、僅か1ヶ月のインターバルで登場。今回からは「爆発する」という意味の「エスプロシボ」をリングネームに入れるようになって、初の8回戦に挑む(相手は噛ませタイ人だけど)。ここまでの戦績は2勝(2KO)1敗。前回・3/6の試合観戦記はこちらから→(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050306#p6)。対するサクラロンの戦績は8勝(2KO)8敗。boxrecで検索すると敗戦ばかりが検索される、典型的な噛ませ犬ボクサーで、昨年末にはこの日メインに登場の金井彰廣に4RKO負けしている。本来はフライ級前後の選手のはずだが……。
1R。予想通り“噛ませモード”のサクラロンに、健文はリラックスした柔らかい動きで自在の攻め。3月の段階では懸念材料だったジャブには、まだ注文をつけたい部分はあるものの、それでも良くなっては来ている。以前から得意のフック、アッパーのスピードはやはりさすがで、これは日本ランカーと比較しても遜色無し。威力もなかなかで、セコンドから「(KOするのは)まだ早い!」という声が再三飛ぶほどだ。しかし、払ったギャラの分だけ実戦練習させたいという親心は判るが、観客を入れた試合で「まだKOするな」というのは何とも……。
2R。健文は試し斬りをするように、当面の課題であるワン・ツー主体の攻撃を見せる。ただ、進歩の跡は若干見受けられるが、やはり得意のパンチに比べると軽くてぎこちない印象。その後、鬱憤を晴らすように得意のパンチの連打に転じ、左フックやボディの高速連打はパワフルで、無抵抗のサクラロンから2度ダウンを奪った挙句に最後はレフェリーストップ。
公開スパーのようなプロ4戦目を軽くクリアしてトーレスが3勝目。相手が相手だけに勝利した事だけで褒めるわけにはいかないが、それでも1ヶ月前に比べて欠点が確実に修正されつつあるのは非常に好感が持てる。この調子ならば当初の目標である「年内に日本ランカー」というのも決して絵空事ではあるまい。少なくとも公式戦の試合内容では亀田興毅よりもこっちの方がよっぽど期待のホープである。しかし悲しいかな、この事を真っ先に伝えなければならないマスコミは、名城信男に続いてまたも“真のホープ”をスルーしてしまいそうな情勢だ。