駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第9試合・Sフェザー級(57.5kg)契約ウェイト10回戦/○吉村憲二(8R1分28秒負傷判定3−0)ロッド・4K・ケヴィカチェ●

昨年の6回戦デビュー以来ここまで3勝(2KO)の吉村は、浪速高校ボクシング部時代に元ライト級インターハイ王者の経歴を持つ25歳。詳しくはこちらのウェブサイト=http://www.a-ma-mignon.com/net/ikemen/01.htmlをご覧いただければと思うが、長年アマチュア畑を歩んだ末のプロ転向。対するロッドは15勝(4KO)12敗3分の戦績を持つフィリピンのフェザー級4位。今回が初来日だが、たびたびPABAタイトルに挑戦しているところを見ると、少なくとも本国ではPABA上位ランカーとして、それなりの実力者で通っているのだろう。
1R。ロッドは、やはりというか消極的な“噛ませモード”。吉村はジャブで距離感を測りつつ、慎重に攻めていった。
2R。吉村はワン・ツー主体に、ロッドの出方と実力を確かめるような戦い振り。ロッドは時折クリンチに逃げつつ、出合い頭気味に軽いヒットを奪う場面もあったが、ポイントを奪おうという意思がまるで感じられない手数の少なさ。
3R。このラウンドも、吉村は消極的なロッドに対して必要以上に慎重な攻め。
4R。これまでと同様の展開。ロッドのダッキングとクリンチワークにペースを乱され、手を焼く吉村だが、終盤にワン・ツーをヒットさせてポイントだけは奪った。
5R。相変わらずの地味〜な展開。吉村は決定力に欠ける感じ、ロッドもクリンチで打たれるのを嫌がり、異様なまでの大凡戦ムードが漂い始めた。
6R。このラウンドもロッドはクリンチばかり。吉村はワン・ツーを当てる場面こそあれ、全体的には攻めあぐんだ。
7R。ロッドはクリンチに交えてワン・ツーも放つが、全体的に見れば膠着気味。吉村は2〜3度パンチを打ち込む場面はあったが、ダウンを奪うには程遠そう。なお、このラウンドに吉村はバッティングで軽い負傷。
8R。淡々と終わりの見えない試合が続いたが、1分を過ぎて宮崎レフェリーは、吉村の傷をドクターに見せて「もう、(試合止めて)いいね」と、半ば強引にレフェリーストップを促して試合を止めてしまった。試合を止めるような傷ではなかったが、勝負の趨勢が見えた大凡戦だっただけに、これは隠れたファインプレーだった。ただ、試合後慌てて会場を退出していく宮崎氏の姿を見ると、「ひょっとするとケツカッチン?」との疑念も(笑)。
吉村の傷の原因が偶然のバッティングだったため、勝負は負傷判定に。結果は80-73、80-72、80-72のフルマークで吉村の勝利となった。駒木の採点でも80-72で吉村。
勝つには勝った吉村だが、8回戦以上で戦うための決定力が大きく不足している事が露呈された。1階級下の噛ませ犬を相手に「あわや」のシーンすら作れないようでは前途多難と言わざるを得ない。せめて1種類でも「これがクリーンヒットすればKO級の威力」という切り札が欲しい。