駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・バンタム級4回戦/●樺山祐平(判定0−3)兵顕吾○

ここからは新人王予選。この日からは多くの階級で2回戦に突入する。このバンタム級では、4/16に京都で1回戦を勝ち上がった戦績2勝2敗の樺山と、1回戦シード、ここまで2勝3敗の兵の対戦だ。兵は昨年Sバンタム級でエントリーし、2回戦で準優勝の坂本亮に判定1−2負けを喫している。
1R。兵は足を使いながらジャブ中心の攻め。ヒット数は少ないがアグレッシブさで主導権を掴む。実は右拳を負傷していたという樺山は、昨年末のイーグル京和よろしく片腕で攻守をまかなおうとするが、さすがに押し込まれるシーンの方が目立ってしまう。
2R。両者ともディフェンスはなかなかのセンスで、ヒット数は少ないものの4回戦としては見応えのある攻防。脇の観客からも「なんや、これまでの試合とは全然動きが違うな」という声が漏れる。ジェネラルシップは両者互角という見立てだが、使える腕の本数差が手数に反映されて兵が若干優勢か。
3R。兵が細かいワン・ツーで樺山の顔面を捉え始める。追い込まれた樺山は右を解禁して強打を狙うも、強引過ぎたか兵に巧く捌かれた。ディフェンスで右のガードとパーリが使えないのが徐々に響いている感じ。
4R。このラウンドも兵が樺山のパンチを巧みに捌いて、膠着気味の展開の中でも細かくヒットを奪ってゆく。樺山も懸命にディフェンスし、痛めた右を続けざまに振るって起死回生を図るが、試合終了のゴングと同時に、その努力はもろくも水泡と帰した。
公式判定は40-36、39-37、39-37の3−0で兵。駒木の採点でも40-36で兵。
兵は大物感こそないが、キャリアを感じさせる安定したファイトで手負いの相手から確実にポイントをもぎ取った。1回戦で4戦無敗の松本辰之介が敗れて混沌として来たバンタム級戦線、西日本限定でなら彼にもチャンスがあるかも知れない。深刻な負傷を圧して出場を強行した樺山、試合後の右拳はモノの見事に腫れ上がっていた。どうやら完全に骨折させてしまったようで、これではこの日勝っていても7月の準決勝は棄権必至だっただろう。部外者から口を挟むのは自重するが、随分と後味の悪い試合になってしまった。