駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・ライト級4回戦/○坂本政憲(判定3−0)竹中聡●

ライト級の2回戦。地元千里馬ジムの坂本は1回戦シード。ちょうど1年前の千里馬興行でデビュー初勝利を飾って以来、1年ぶりのリングとなる(デビュー戦の相手は5/15にSフェザー級1回戦敗退の岩下幸右)。一方の竹中は、4/2の1回戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050402#p2)で高いセンスを窺わせる戦い振りで明白な判定勝ちをマークしている。
1R。豆タンク型体型で、身長・リーチ差では大きなハンデを抱える坂本だが、アグレッシブにインファイトを仕掛けていって手数を稼いでゆく。竹中はこの勢いに戸惑う感じで、やや専守防衛気味。ガード巧みに有効打は防ぐが、身長差がかえって災いして得意のワン・ツー・ボディの狙いが定まらない(坂本の顔の位置は、竹中にとってアッパーで狙う場所)。
2R。坂本は捨て身で相手の懐に飛び込んで、死中に活を見出す作戦。これが見事にハマって自分の距離から上下に有効打を決めていく。竹中はこのラウンドも攻撃の起点であるジャブ、ストレートが思うように打てず大苦戦。アッパー中心に攻めを切り替えようと試みるが、単発気味になってしまう。
3R。このラウンドも坂本が自分のペース、距離で戦う。劣勢を意識した竹中が攻め気を出して来た勢いを逆に利用するように、絶妙の左フックで尻餅をつかせるダウンを奪う。竹中も終盤反撃に出たが、ダウン1回の差は果てしなく重い。
4R。最終ラウンド、ようやく竹中がアグレッシブなボクシングを展開して意地を見せるが、最後まで持ち前の鮮やかなコンビネーションは影を潜めたまま。歯車が一度も噛み合わないまま、彼の新人王戦は唐突なエンディングを迎えることとなった。
公式判定は40-35、40-35、39-36の3-0で坂本。駒木の採点も39-36で坂本が優勢。
「まんまと〜〜」という副詞がよく似合う、坂本してやったりの快勝劇。相手の持ち味を殺し、自分の持ち味を完全に活かし切った試合振りで、現状の彼にとってはベストパフォーマンスだったはずだ。一方、一敗地にまみれた竹中、今日はジャンケンで言えばグーとパーだけでパーと戦っていたような、そんな試合だった。4回戦ボーイには酷な注文かもしれないが、ワン・ツー以外のパンチを起点とするコンビネーションの開発と、一撃必殺級のフィニッシュブローを身に付けるのが今後の課題となるだろう。