駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第2試合・バンタム級4回戦/○井戸本雅也[大阪帝拳](3R0分37秒負傷判定3−0)勇元肇[守口東郷]●

第2試合はバンタム級2回戦。井戸本は5/1の1回戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050501#p13)を、3R負傷判定で制しての2戦目で、ここまで3勝無敗の戦績だ。対する勇元は今期開幕戦となる4/2の1回戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050402#p1)を際どいドロー勝者扱いで潜り抜けいる。戦績は1勝2分。
1R。勇元は今回も接近戦でノンストップ・ブロー。テクニックや精度は感じられないが、この根気強さには感心する。対する井戸本は、この手数の嵐にガードを固めて対応しつつ、右アッパーを効果的に利かせていって優勢に立ち、テンプルへ振り下ろした軽いパンチでフラッシュ気味のダウンを奪う。勇元はダメージ少ないが、自分の距離を把握した井戸本が攻め手を緩めず一方的な展開に持ち込んだ。
2R。勇元の手数は相変わらずだが、やはり不発気味。井戸本は勇元のヘディングで額に傷を負ったが、怯まずカウンターで勇元の攻勢を挫きつつ、間隙を縫ってアッパー、フック中心で攻める。その中の左フックがクリーンヒットし、ダウン寸前の場面も。
3R。井戸本がこのラウンドも攻勢に出たが、程なく宮崎レフェリーが試合を止めて負傷判定へ。本来なら2Rに止めてもおかしくない感じだったが、“被害者”井戸本優勢の試合を、井戸本の勝ちのまま成立させるため、意図的にストップを遅らせたように見えた。*1前から思っていた事だが、宮崎レフェリーはドクターストップの活用させ方が実に上手い。名城×田中戦のレフェリングでミソをつけてしまった宮崎氏だが、個人的には西日本地区では指折りの腕利きだと思っている。
3Rまでの採点で争われた公式判定は、30-26、30-26、30-27の3-0で井戸本。駒木の採点も30-26井戸本。
井戸本は、これで珍しい2戦連続の負傷判定での勝ち上がり。相手の繰り出す膨大な手数を捌き、的確に有効打を打ち込んでいった辺りに4回戦としては非凡な実力が窺える。勇元は闇雲なショート連打一辺倒のスタイルの限界を知らされた感じ。技術を磨いていかなければ前途は厳しいだろうが、試合終了後すぐに「怪我させてすいませんでした」と井戸本に謝罪したスポーツマンシップは大変立派だったと付記しておこう。

*1:新人王予選4回戦の場合、2ラウンドまでの負傷ストップは引き分けで負傷していない方の勝者扱い、3ラウンド以降は負傷判定となる