駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1試合・Lフライ級6回戦/○山脇正輝[大阪帝拳](判定2−0)須田康博[八尾]●

両者戦績・臨戦過程

試合展望(65-35で山脇優勢)

ライトフライ級は12人のトーナメント。両者とも軽量級らしいアグレッシブさが持ち味で、この決勝も実力の接近した好ファイトが予想されるが、攻守のバランスが取れている山脇が総合力で一枚上手。準決勝までで須田と同型・同レベルの選手と“予行演習”をこなしており、万全の体調で出場すれば少差ながら判定勝ちに持ち込めそう。須田はとにかく手数の嵐で山脇を撹乱して活路を見出したい。

試合経過

1R。ラウンド序盤は互いに距離を取って慎重な立ち上がり。実力を認める同士故の牽制か。しかし間もなく須田がワン・ツーで仕掛けていくと、徐々に両者の手数が増えて白熱した戦いに。アグレッシブさは須田が勝るが、山脇はこの手数攻めをガードとパーリングでガッチリと防御し、逆に打ち終わりを狙ってワン・ツーを放ち、ヒットを次々奪っていく。須田も5、6連打のコンボを見せて一瞬山脇をたじろがせたが、劣勢は否めず。
2R。須田が出入り激しく、牽制と強打のメリハリのある味な攻めを見せる。ワン・ツーに交えてボディフックを放ち、これが効果的。山脇もワン・ツーで反撃を試みるも、このラウンドは須田もガードが良く、ヒットはジャブ数発に留まった。
3R。前のラウンドで守勢に回った反省か、山脇はただ守りを固めるだけでなくイレギュラーにフックを放って須田の躊躇を誘う。狙い通り主導権を奪い返した山脇は、右ストレート、左アッパーと強打をヒットさせて優勢。須田も打ち合いのドサクサの中で速いワン・ツーを当ててゆくが、このラウンドは受身を強いられた。
4R。山脇は牽制用の捨てパンチとヒット狙いの強打の使い分けが上手く、先手、先手で立ち回って須田に主導権を譲らない。右ストレートで度々ヒットを奪い、打ち合いでも優勢に立った。須田も手数は出ているが、山脇のガードを叩くのみ。
5R。接近戦に転じて、両者激しい打ち合い。山脇はガードを固めて被弾を防ぐ一方で、須田が時折ガードが下がる瞬間を見逃さずに右ストレート、左右のフックを次々とヒットさせた。このラウンドは完全に山脇のラウンド。
6R。このラウンドも山脇はショートレンジから須田のガードの隙を突いて右ストレートでクリーンヒットを奪うと、左のジャブ・アッパー、更にボディフックで有効打を加算。須田も右ストレートや、山脇のガードの隙間を突くアッパー、更にはボディブローで反撃したが、どこまでジャッジにアピール出来たか。
公式判定は上中59-55、安田58-56(以上、山脇支持)大黒57-57の2−0。駒木の採点でも59-55で山脇優勢とした。
両者ハンドスピードあるコンビネーションで魅せたが、勝敗を分けたのはガードの技量差だった。山脇は攻守の技量のバランスが取れており、穴の少ない選手。欠点と言えばKOパンチが無いぐらいで、グリーンボーイとしては最上級のテクニシャンだろう。須田も攻撃面は互角だったが、被弾数の多さがジャッジに悪影響を及ぼしたか。こちらも6回戦では上位クラスの実力で、再起次第スムーズに出世していく事だろう。