駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第3試合・Sフライ級4回戦/●山本幸史郎[ウォズ](判定1−2)井階甲基[森岡]○

両者戦績・臨戦過程

  • 山本幸史郎[通算戦績3勝(1KO)無敗]
    • 1回戦 4/16 VS松元雄大 判定2−0(39-37,39-37,38-38)
    • 2回戦    VS大崎周亮 対戦相手負傷のため不戦勝
    • 準決勝 7/31 VS飯田聖人 判定2−0(40-36,39-37,38-38)
      (→http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050731#p5
  • 井階甲基[通算戦績3勝(2KO)1分]

試合展望(55-45で井階優勢)

スーパー・フライ級は11人のトーナメント。優勝候補筆頭&2番手が姿を消すという波乱の展開となったこの階級、予想するための判断材料に乏しく情勢は混沌。山本のアグレッシブさが勝るか、18秒殺で決勝進出を決めた井階の決定力が勝るか……といったところだが、正直言ってフタを開けてみなければ分からないカード。

試合経過

1R。試合開始からしばらくは、両者フェイント交えつつ様子見中心の立ち上がり。しかし距離感が今ひとつ掴めず戸惑い気味の井階に対し、山本右ストレートが散発的にヒットさせていってラウンド終盤にはクリーンヒットでダウンを奪う。しかし試合再開後は功を急ぎ過ぎ、ダウン狙いの強引なラッシュは井階に余裕を持って捌かれた。
2R。山本が出入りのボクシングでヒット&アウェイを試みるも、井階は落ち着いてステップバック、ダッキングで一連の攻めを不発に終わらせる。先のダウンが良い気付け薬になったようだ。更に井階は、全体的に無駄が多く攻撃の後のフォローが遅れる山本の隙を突いてジャブ、右ストレートで有効打を奪い、時にはステップインからのボディフックなど印象的な攻撃も決めた。
3R。井階のディフェンス、特にボディワークはグリーンボーイの水準を越えている感。山本は構わず強引に仕掛けて行くが、不用意に飛び込んだところに左を合わせられ、次いで右ストレートを被弾。終盤に井階は更に右ストレートで追撃し、明確にポイントアウトを果たした。
4R。山本は手数勝ちを狙って接近戦でショートの嵐。しかし井階は的確にこれらを捌いて、逆に右アッパー・ストレートなどで10数発ものヒットを奪い、優勢を確立した。
公式判定は上中38-37、原田38-37(以上、井階優勢)安田38-37(山本優勢)の2−1で井階。1Rのダウンがあってスコア上は辛勝だが、実質的には完勝に近い内容だった。
決勝進出まで不戦勝や秒殺勝利ばかりで、その実力がヴェールに包まれていた井階だが、その正体は冷静沈着で攻守のバランスが高い水準で取れている好選手だった。浅野、飯田といった途中敗退の優勝候補たちとも勝るとも劣らない実力の持ち主で、次戦以降も大いに期待が持てる。一方、惜しい星を落とした山本だが、動きが無駄に大きい上にパンチの精度も甘い。正直なところ、現状では新人王タイトルを狙うには今一歩届かない地力だろう。