駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sバンタム級6回戦/○高野愛[塚原京都](1R0分36秒KO)忠地啓太[ウォズ]●

両者戦績・臨戦過程

試合展望(60-40で高野優勢)

スーパーバンタム級は全階級通じて最多の15人がエントリーし、決勝は塚原京都×WOZの“京都ダービー”となった。
両選手共に長所と欠点がハッキリしており、これらのどことどこが噛み合うかで試合展開はガラッと変わって来るだろう。高野が準決勝と同様に前へ前へプレッシャーを掛けて豪腕を振るう展開になると、ディフェンスに難のある忠地は苦戦を強いられそうだ。スパーリングパートナーを壊すほどのパンチ力だけに、1発良いのを貰うだけで致命傷に繋がる。しかし忠地が高野のスピード不足を咎め、足を使いながらハンドスピードのある連打で攻め立てるような展開になると、形勢も逆転する。両者初の6回戦だけに、長期戦になった場合、5ラウンド以降にどれほどスタミナを残しているかも勝敗のポイントになるだろう。

試合経過

1R。開始早々、高野が積極的にプレッシャーをかけつつ豪腕を振るう。忠地は距離を取ってジャブでいなそうとするも、高野の圧力の前にコーナーへ追い詰められてしまう。高野は猛烈な勢いで重い強打を振るうと、忠地は果敢にこの打ち合いに応じるがこれはさすがに無謀。パンチを数発貰って効かされ、何とかコーナーから脱出しようとした所へ強烈な右フックが、これ以上無いというドンピシャなクリーンヒット。忠地は横倒しにマットに叩き付けられると完全に失神。カウントもそこそこにレフェリーがゴングを要請し、戦慄のKO劇で試合は唐突に終焉した。
高野が準決勝に続いて曲者タイプのボクサーをパワーで粉砕し、わずか36秒で西日本新人王の地位を掴んだ。今日この日で最も株を上げたのが、この高野だと言って間違いないだろう。躊躇無くプレッシャーをかけていく追い足に、この階級とは思えぬパワフルな剛打。軽快さやスピードには欠けるものの、それを補って余りあるラッシングパワー。この男に問答無用の先手必勝で攻めて来られると、並のグリーンボーイでは全く対応できないだろう。この階級、他地区では有力選手が多数エントリーした激戦区だが、今の高野なら何かしてくれそうな期待が持てる。
一方の敗れた忠地、1回戦から引きずって来た守備意識の甘さのツケが、ここに来て一遍に回って来た感じ。攻撃面には非凡なセンスが窺えるものの、ディフェンスが現状のままでは6回戦で思わぬ足止めを喰らう可能性もある。今後どれだけ真摯な態度でボクシングに臨めるかが今後の浮沈を占うカギとなるだろう。