駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・フェザー級4回戦/○佐藤通也[大阪帝拳](4R2分10秒TKO)柳井育夫[大鵬]●

両者戦績・臨戦過程

試合展望(75-25で佐藤優勢)

フェザー級は14人参加。明白な勝利を積み重ねて来た“塩漬けマシーン”佐藤に対し、キャリアの浅さを露呈しながらも粘り強い戦い振りで決勝まで辿り着いた柳井がどう挑むか……といった図式。
柳井はトーナメントを戦いながら磨いて来たフック、アッパーが武器だが、このクラスの選手としては卓越したパーリングとクリンチワークを誇る佐藤に通用するかどうかは極めて微妙。佐藤が2回戦〜準決勝と同様、相手の持ち味を殺した後にジワジワと有効打を重ねる老獪なボクシングで、フルマークに近いポイントアウトで完勝する公算が高い。柳井はとにかく何でも良いから佐藤を慌てさせて乱戦に持ち込みたい。

試合経過

1R。柳井がワン・ツー主体で先手を打つも、全体的に大振り。初めこそ何発かヒットを奪っていたが、佐藤の目が慣れてくると軽くダッキングでかわされるようになってしまった。その佐藤は、左ジャブでコツコツと手数・ヒットを稼ぎ、柳井の打ち終わりを狙った右ストレートで追い討ち。キッチリと優勢を築き上げた。
2R。ゴング直後、いきなり強打の応酬でクリーンヒットを交換するスリリングな場面があったが、その後は佐藤のペース。柳井の攻めを捌きつつ、このラウンドもジャブ中心に右ストレートをクリーンヒット、左フックでも有効打を奪って優勢。
3R。このラウンドも佐藤が主導権を離さず。右ストレートを効果的に使い有効打を重ねた。柳井もワン・ツーで1、2発のヒットを奪ったが、距離感を掴めず苦戦が続く。
4R。ここに来て勝勢を悟った佐藤は意識的にKO狙いの組み立てに。柳井が挑んだ打ち合いに敢えて応じる形でワン・ツーをクリーンヒットさせてダウンを奪うと、その後も冷静に上下にフックを浴びせ、最後は手数攻めにして柳井を防戦一方に追い込み、レフェリーストップを勝ち取った。
佐藤が柳井との実力差を試合内容にそのまま反映させて完勝。柳井の力量を完全に見切った最終ラウンドに、KOを狙いに行って実際にKOで締めるなど、彼らしい渋い戦い振りが光った。柳井は頼みのワン・ツーとアグレッシブさが全く通用せず、完敗。