駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・日本Sライト級タイトルマッチ10回戦/○《王者》木村登勇[横浜光](2R2分25秒KO)松宮一之[新日本徳山]《挑戦者・同級1位》●

独特のファイトスタイルと“日本以上世界未満”の実力が、首都圏のマニア筋では賛否両論という木村の5度目の防衛戦。戦績はここまで26勝(11KO)5敗2分。WBCで14位、OPBFでは1位にランキングされている。
対する指名挑戦者でOPBF10位にも名を連ねる松宮は、ここまで12勝(4KO)4敗1分の戦績。自ら「これが最初で最後のチャンス、一世一代の大勝負」と覚悟を決めてのタイトル挑戦となった。
1R。木村はサウスポースタイルからジャブ代わりの右フックでリズムを掴み、左ストレート、アッパーを絶妙のタイミングで追い討ちし、有効打の山を築く。松宮も手数は十分だが、木村の巧みなインサイドワークに捌かれて不発。
2R。松宮のアグレッシブな手数攻めに対し、木村は熟練のクリンチワークでこれを無効化させて反撃のチャンスを虎視眈々と窺う。そして2分過ぎ、巧みなフェイントから高速左フックが松宮のアゴに鮮烈なクリーンヒット! バッタリと倒された松宮、動きを拒否する脳神経を振り切って立ち上がるも、ファイティングポーズを取る余裕もなく無念の10カウント。松宮は憔悴し切った表情でセコンドに抱きかかえられながら青コーナーに運び込まれた。
戦前から王者圧倒的優位との下馬評だったが、リングサイドに陣取った専門誌記者たちも「まさかこれほどとは」と感嘆するほどの圧勝劇。これで絶対的な日本王者としての地位を確立したが、世界王座には挑戦すら叶わぬ階級。今後の展開には注目と懸念が集まるだろう。