駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Sフェザー級6回戦/○真栄城寿志[角海老宝石](判定2−1)武本康樹[千里馬神戸]●

1R、2Rと、真栄城の強引かつトリッキーな攻撃が精密機械・武本を翻弄。2Rには右フックでダウンまで奪う。武本の反撃も固いガードで防いで予想外の大差リードを奪う。しかし3Rからは武本が真栄城の動きを見切って華麗に逆襲。巧みなヒット&アウェイと連打、真栄城の攻撃にはクリンチワークで対応して形勢は一気に逆転。だが5R、武本はアグレッシブに仕掛けて行ったが、これが逆効果。微妙に詰まった距離は真栄城のベストディスタンスで、武本は掴み掛けた試合の流れを再び手放してしまう。最終6R、互角の打撃戦の中で、真栄城の右がタイミング良く有効打となり、これが結果的に勝負を決めるパフォーマンスとなった。
公式判定は58-56、58-56(以上、真栄城支持)58-57(武本支持)の2−1で真栄城が殊勲の1勝。駒木の採点も58-56で真栄城優勢。
下馬評では「武本が圧倒的有利」だったこの一戦。事実、当の真栄城陣営、果ては選手本人までが、武本の試合ビデオを観て「これは絶望的だ」と観念していたという。恐らく、10回試合をすれば8回か9回は武本の完勝だったろう。しかし、たった1度の本番では、真栄城が勝つための必要条件が1つ、また1つとハマって、少差のスプリットデジションをモノにした。ボクシングという競技の面白さ、恐ろしさ、素晴らしさが凝縮された6ラウンズ。勝者も敗者も胸を張って然るべき好勝負であった。