駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・ライト級4回戦/●松本和也[明石](判定0−3)巴山宏和[正拳]○

最終試合はチャレンジ・マッチ的な要素を含んだ一戦。赤コーナーの松本は3勝(2KO)7敗と負けが大きく先行しているが、前年度新人王戦では日高慎一[尼崎]と善戦健闘し、昨年末には久々のKO勝ちをスコアするなど充実した近況を過ごしている。新人王2回戦級の実力の持ち主だ。これに対する青コーナーは、この日デビュー戦を迎えた正拳ジム期待の巴山。後から知った話だが、ローティーンの頃から同門のアマ強豪やプロ選手を相手に堂々とスパーリングで渡り合っていた天才肌の選手だとか。緒戦からいきなりサウスポーの3勝選手と当てられたのも、それなりに理由があっての事なのだろう。
1R。巴山、ガードを固めて様子見気分の松本に対してビシビシと伸びのあるジャブ、ストレートで的確にヒットを重ねる。ハンドスピード、精度共に良し。しかし、ラウンド後半には松本が強打を振るってクリーンヒット2発をお返し。ジャッジ的には少差のラウンドになった。
2R。松本の戦い振りは戦意のあるタイ人噛ませ犬のような感じ。この微妙に消極的なファイトにつけこむ形で、巴山は右ストレート中心に、強烈なボディフックも効かせてゆく。ガードがやや甘く、その辺に一抹の不安を感じさせはするが、見事な初陣の戦い振り。
3R。巴山の右ストレートが冴える。サウスポーの松本に対しては、これがリードジャブの役目も果たして主導権を引き寄せる。松本は泥仕合に持ち込みたいが、思うように行かず、ラウンド終盤にいくらかヒットを重ねたのみで不完全燃焼。
4R。ショートレンジでの戦い。ここに来て巴山は手数が減って試合展開は膠着気味に。ボディへしつこく攻撃する巴山だが、松本のしつこい手数攻めの方が印象的。時既に遅しだが、このラウンドは松本が粘り勝ちしたように思えた。
公式採点は3者いずれも39-37で巴山支持。駒木の採点でも39-37巴山。
デビュー戦の巴山は、ストレート系パンチの精度とスピードで、ベテランの松本を相手に完勝。体力と技術は発展途上といった感でまだまだこれからだが、順調に成長してくれれば来年の新人王予選の頃には面白い選手に育ってくれるはずだ。
手痛い一敗を喫した松本は自分から仕掛ける場面が少なすぎた。ただ今日は松本の不甲斐無さよりデビュー戦から素質のつぼみを膨らませた巴山を称えるべきか。