駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第26回尼崎スーパーファイトボクシング

春恒例の尼崎ジム主催興行、今年はSウェルター級の日本ランカーとなった野中悠樹の調整戦をメインに、4月中旬の開催となった。しかし特に集客力の望めるカードは無く、IMPホール並のキャパの大半を自由席で割り振ったものの、全体的に空席が目立つ寂しい入り。洲鎌・仲の元・日本王者を相次いで失った尼崎ジムの衰微振りを否応無しに実感する事となってしまった。気がつけば、当たり前のように在ったテレビカメラと中継スタッフの姿も無く、この日引退式を迎えた仲宣明のテンカウントゴングと共に、諸行無常の響きが聞こえて来そうな印象が強く残った。
しかし、仲宣明の引退は何とも言えないモヤモヤしたモノが胸に残ってしまって仕方がない。順調に積み重ねていたキャリアを交通事故が台無しにし、彼が本来辿るはずだったコースは長谷川穂積が全力疾走で駆け上がっていってしまった。せめてもの救いは、敵地とは言え世界挑戦が叶い、敗れたとは言え再浮上の機会も与えられた上での引退だったという事だが……。彼のキャリアを振り返ってみると、この世には「運命の歯車」というものが本当に有るのだと思い知らされてしまう。