駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

En El Mundo Triunfare Vol.4/SENRIMA SUPER FIGHT20(高砂・千里馬

毎年5月・11月に千里馬神戸主催で行われるサンボーホール興行だが、今回は3月にワールド記念ホールで長谷川の防衛戦を開催した兼ね合いもあってか、高砂ジムとの共催という形で行われた。出場選手は千里馬神戸勢中心だが、興行の目玉は高砂のエース・三谷将之が務める形で、ソフト面・ハード面の美味しい所を両ジムで分け合っているような形だ。


さて、客入りの方は両ジムの関係者・後援者の動員も効いたようでかなりの賑わいとなったのだが、今回大幅に変更となったチケットの区分に関して大いに問題があり、あちこちで小さな、そして深刻な混乱が見受けられた。
というのも、今回のチケット設定は2種類の指定席(12,000円/8,500円)と先着順自由席(5,000円)、そして当日限定の立見券(3,000円)の4種類あった。当然ながら、観客の大半は自由席券と立見券を持っているわけだが*1、座席の方はその大半が指定席で、自由席は100席に満たない少数限定であった。つまり、前売りで購入した熱心なファン・後援者、もしくは立見を嫌って余分な料金を支払い自由席券を買い求めた人の多くは、座席からあぶれ、前方の空席を恨めしく見つめながら、自分より2,000円も安い立見券を買った人と混じって観る羽目に至るわけである。果たして、試合開始10分前頃からは、ある筈の(少なくともそう思っていたであろう)座席が無い事に愕然とし、既に皆無に近い空席を探しに奔走する人の姿があちこちで見受けられる結果となった。
それでも要領の良い人やスレたマニアならば、空席ばかりの指定席に潜り込んで事無きを得ただろう。しかし、それが出来る人は決して多くない。ましてや観戦歴の浅い、新規ボクシングファン予備軍である人たちが、コワモテ・ヤンキー風の人たちに紛れ込んで他人の指定席をガメるなど出来るはずも無い。そしてそうやって不当な割高感と長時間立見の疲労感を募らせた観戦初心者は二度と会場に足を運ばない。それどころか、周囲にボクシング業界の悪評を撒き散らした挙句、ボクシングはテレビで観るだけの人になるのである。
顧客には対価に見合ったサービスを提供する事。そして安いチケットを買った客に悪い意味で格差を感じさせるような区別をしない事。こんな興行の「イロハ」を何故、市井の一ファンが海千山千の主催者に諭さねばならないのだろう。ボクシング人気復興を目指してとは口で言いながら、結局は自分のジム中心の重商主義なのか。まったく、腹が立つ以前に悲しさで胸が詰まる。


なお、この日は夕方、それもギリギリで掛け持ち出来ない実に中途半端な設定でグリーンツダジム主催興行が行われたため、JBCオフィシャル陣も神戸・大阪で二手に分かれての運営となった。西日本では慢性的な人手不足に陥っているレフェリーに関しては、東日本から神戸へ浦谷・福地両氏が応援派遣されていた。

※例によって概括のみ先行して更新。採点は今回も「西」と「東」を併記。

*1:ノンタイトルの地方興行で万札を叩ける人はタニマチを除いてはごく少数派だろう