駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第11試合・Lフライ級6回戦/●諸一宇[尼崎](判定1−2)浦西勝史[神拳阪神]○

両者戦績は諸4勝(1KO)4敗3分、浦西3勝(0KO)4敗3分。諸は6/10に05年度西日本新人王・山脇正輝に判定負けして連敗中。技術的にはこのクラスでも上位のものを持つだけに、そろそろ結果を出したいところ。浦西は今年度新人王戦にエントリーするも、優勝候補揃いの“死のブロック”に
放り込まれて初戦敗退。まだ来年度の参加資格もあるが、一念発起して6回戦から出直しをかける。
1R。両者得意のディフェンス技術を前面に、殆ど被弾しないまま目まぐるしく攻守を交代しながら戦う。浦西がラウンド前半に前、前へ出て攻勢をかけるが、後半には諸もステップワークと鋭いジャブで主導権をアピール。このラウンドは互角の形勢。
2R。ラウンド序盤、諸が左フック有効打などで先制するが、中盤には浦西もトリッキーな動きを交えた攻勢に出てヒットを重ねる。だが終盤には再び諸が攻勢に出て右ストレート中心にヒット奪って突き放す。
3R。やや動きが落ちた諸に、浦西が揺さぶりを掛けてゆく。ボディブローや変則的な左フックでヒットを奪い、諸の攻撃の大半をダッキングで躱してゆく。差は大きくないが、少なくとも互角以上の展開。
4R。両者ボディワークとステップで相手の攻撃を捌きながら、少ないチャンスを窺う静かながら熱い視線の注がれる展開。諸がラウンド前半に右ストレートをクリーンヒットさせるが、浦西は後半に上下へそれぞれ左フックを有効打して追いすがる。
5R。諸が浦西の独特のムーヴを捌いては軽くパンチを当てて主導権支配をアピールし、カウンター気味の有効打で追加弾も浴びせる。浦西は前へ出て攻勢点を稼ごうとするが、これをジャッジにどう判断してもらえるか?
6R。このラウンドも諸は闘牛士のように身軽な動きでアウトボクシング。ラウンド前半を左ジャブ、フックで遊んで優勢。しかし浦西も後半から強いプレスを掛けていって左フック、右ストレートを当てて“アグレッシブ”要素でも優位。微妙なラウンドが続く。
公式判定は北村58-56、原田58-57(以上、浦西支持)、藤田58-57(諸支持)のスプリットで浦西。
駒木の採点は「A」58-56諸優勢「B」58-58イーブン。
ディフェンス中心の主導権を探り合う、このクラスにしては高度な駆け引きが求められる難しい試合だったが、浦西が“アグレッシブ”要素で上回り僅差判定をモノにした。これでB級初勝利。
諸はどの試合も“リング・ジェネラルシップ”の要素では優位に立ち、ヒット数も稼いでいるが、非力なところと受身になりがちな姿勢が惜しい星を落とす事に繋がっている。これで3連敗となり通算成績でも負け越しだが、このまま終わって欲しくない選手ではある。