駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第1試合・Sフェザー級契約ウェイト(58.0kg)4回戦/△株丹千秋[エディ](判定1−1)平野英治[八尾]△

両者戦績は株丹2勝(1KO)1敗1分、平野2勝(2KO)5敗。共に新人王予選を緒戦で敗退しての再起戦で、特に平野は後に西日本制覇を果たした山本敏充[江坂]と当てられる不運を被っていた。
1R。平野は3分間ノンストップで強振、強振。パンチは左→右→左→右の繰り返しで技術は感じられないし、精度も低いが手数と攻勢点で優勢。これに対し、株丹はガードを固めつつ反撃に移り、ジャブなどを中心にヒット数では互角以上に持っていくが、全体的に無駄な動きが多いためにヒットを次の決定打に繋げていけない印象。
2R。このラウンドも平野の手数攻め。ヒット数は限定的な精度の低さだが、強引に手数で3分間主導権をキープし続けてしまう。株丹は左フックの有効打など必死に抵抗するが、散発的なヒットで後が続かない。“クリーンヒット”小差優勢と“アグレッシブ”&“リング・ジェネラルシップ”大差優勢との比較検討をジャッジに求める内容が続く。
3R。平野の手数攻めが続く。ラウンド前半は手数の嵐で平野が株丹の動きを封じてしまうが、後半に入ると株丹もショート連打で有効打を奪い形勢挽回。このラウンドは主導権支配も互角で、ジャッジ的には際どい。
4R。接近戦で株丹が手数を増やし、左フックやワン・ツーなどで度々有効打を奪って主導権も確保。平野も手数絶やさず応戦したがヒット数劣勢が明らかでやや苦戦。
公式判定は大黒39-37(株丹支持)半田39-38(平野支持)、北村38-38の三者三様ドロー。駒木の採点は「A」39-37「B」39-38で平野優勢。個人的な採点結果に関わらず「この試合は多分ドローだな」と思える時があるが、その典型例のような試合。ジャッジ3人の主観が採点結果通り三者三様に分かれた。
共に手数を愚直に振るうタイプだが、動きの大きさの割にパンチの精度が低く、そのため決定力にも欠けた乱打戦に終始してしまった。両者共にパンチを「打つ」だけではなく「当てる」冷静さと技術が欲しい。相手の動きを見て、それに応じて動けるような実戦勘を身に着けてもらいたい。特に平野はディフェンスに対する意識も薄いので、そちらの改善も望まれる。