駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第2試合・Sバンタム級6回戦/○宮崎勇太[大阪帝拳](判定3−0)モンコンノイ・プラクラハーン[タイ国]●

龍谷大ボクシング部出身・宮崎勇太のB級デビュー戦。プロキャリアのいきなりから無名のタイ人、しかも明らかに階級が下(当日リミットより900gアンダー)の選手が相手というのは如何なものかとも思うが、まずはプロのリングに馴染む事を先決としたか。ちなみにモンコンノイは今回が初来日。
1R。モンコンノイは頭を低くガード固めてカウンター狙い。本業ムエタイの選手らしい消極的な試合運びだが、やたらとフックのキレが鋭く、このラウンドでも宮崎から有効打3発を奪う。しかし宮崎も迫力・ハンドスピード感じさせる強打を見せ、上下にヒット、有効打を浴びせてゆく。ファイトスタイルは明らかにプロ志向。
2R。宮崎は体格差でロープに詰め、ボディフックの嵐。モンコンノイはガードを緩めず時折カウンターを返すが、これが2発、3発とクリーンヒットとなって意外な展開に。ジャッジ的には宮崎の優勢は揺るがないが、油断ならない場面が続く。
3R。モンコンノイはガード固めて亀状態。これに対し宮崎は思うままに強打を放ってゆくが、ボディ以外にヒットを奪えずKOの予感は起こらない。モンコンノイは徹底したカウンター狙いだが、このラウンドは攻める隙間を見出せなかった。
4R。宮崎は専守防衛のモンコンノイを攻めあぐみ。手数と細かいヒットで採点基準的には大差優勢も、決定的な場面は無し。逆にモンコンノイも宮崎が隙を見せるやストレートを2発ヒットさせて不気味。
5R。宮崎はモンコンノイのガード上とボディに手数を浴びせて圧倒的優勢だが、攻め疲れか口を開けてややバテ気味。動きが粗くなった分つまらない被弾も目立ち、不満の残る内容のラウンドが続く。
6R。このラウンドも宮崎はモンコンノイのガードを叩くのみ。手数では圧倒するが明確なヒットは殆ど無く、逆にヒヤリとする被弾シーンが目立つほど。このラウンドはジャッジ的にもかなり際どい内容。
公式判定は北村、大黒、上中いずれも60-54で宮崎。駒木の採点は「A」60-54「B」60-55宮崎優勢。
宮崎は強打の回転力、ハンドスピード、重さは8回戦級の能力だが、ディフェンス面と試合運びの単調さに課題を残した。今日のようなタイ人相手の試し斬りではこれらの課題克服は難しいと思われ、しばらくはアグレッシブな日本人選手との対戦が望まれる。温室育ちが続くと、いざ強敵と当てられた時に足下を掬われそうで怖い。