駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第9試合・ライト級6回戦/○竹下寛刀[高砂](5R2分11秒TKO)江口秦蒋[岐阜ヨコゼキ]●

セミファイナルは03年度西日本新人王の竹下が、6回戦に“自主降格”して裸一貫で出直す一戦。
その竹下は9勝(6KO)4敗の戦績。デビュー以来6連勝で西日本新人王を獲得するが、その後は伸び悩み、A級昇格後はタイ人以外に勝ち星を挙げていない。昨秋に1年のブランクを経て再起してからは連敗中で、今回は背水の陣を敷いて2年ぶりの勝利を狙う。
その竹下の相手役を務める、岐阜から遠征の江口は5勝(2KO)5敗1分の戦績。新人王戦では2年連続で中日本決勝までコマを進めるも、6回戦では1勝3敗とこちらも伸び悩み中。今回は格上相手で厳しいが、ここで金星を挙げて反転攻勢に出たいところだろう。
1R。いきなりからショートフック中心にKO級の強打が飛び交う物騒な打撃戦。竹下が圧力かけつつ手数で圧倒するが、江口も度々左フック、右ストレートをクリーンヒットさせてダウン寸前の場面を作り、情勢は混沌。
2R。竹下はこのラウンドも手数豊富に豪快なパンチを振り回すが、江口のガードに阻まれてクリーンヒットは奪えない。対する江口は右ストレート、アッパー、左フックでクリーンヒットで有効打、クリーンヒットを奪い手数不足を補完する。
3R。竹下が手数攻勢の中で右フック、ダブルの左ストレートを再三クリーンヒットさせ、このラウンドはヒット数も含めて大差優勢を築く。江口も右ストレートを3〜4発クリーンヒットさせて抵抗するが、この戦果でも数的には劣勢。とんでもないハイスコアの打撃戦である。
4R。竹下は左アッパー、右フック中心にクリーンヒットを連発してこのラウンドも優勢。ラウンド終盤には左右のフックでグラつかせる。江口もボディブローや右ストレートで竹下をのけぞらせる場面作るが……
5R。両者さすがに体力切れか、手を休めるシーンが増えて来た。それでも竹下は手数豊富に主導権をキープし、ラウンド終盤には左ストレートで有効打を奪う。江口も対等に打ち合うが手数が少ない。
6R。最終ラウンドに至っても壮絶な乱打戦が続く。前のラウンドと同様の展開から、やがてKO狙いのクリーンヒットの応酬となり、竹下の左アッパー、ストレート、江口の右ストレートがそれぞれ強烈に敵の顔面を捉える。だが最後には竹下が打ち勝ち、優劣顕著となったところで遂にレフェリーストップ。
両者KO狙いの派手な強打合戦。共に勝機は有ったが、手数とスタミナで勝っていた竹下がA級選手の意地を見せつけて久々の勝利。だがこのリスキーな戦い方は諸刃の剣で、今後も冷や汗脂汗が止まらない試合を繰り返す事になるのだろう。
江口は敗れはしたがナイスファイト。格上相手に堂々たる戦い振りだった。ただ惜しむらくは右ストレートのクリーンヒットで優勢に立った後に試合を決めるような追撃を掛けられなかった所。この辺りが現状の低迷の原因なのだろうか。