駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第10試合・フェザー級8回戦/○玉越強平[千里馬神戸](7R1分54秒TKO)佐梁孝志[明石]●

メインは千里馬神戸ジムの副将格・玉越強平が半年振りに登場。今回も日本人ノーランカーを相手に調整戦を行う。日本タイトルへの再挑戦を狙うためにも久々のKO勝利を果たしたいところ。
現在OPBFのSバンタム級7位、日本同級1位の玉越は16勝(6KO)4敗5分の戦績。当時日本Sバンタム級1位だった前日本バンタム級王者・池原信遂[大阪帝拳]を破って日本ランク入りを果たしたのが3年前。その翌年には当時中島吉兼[角海老宝石]が保持していた日本タイトルに挑戦するも、4R負傷ドローに泣いた。その後は日本人ノーランカーを相手に調整戦を繰り返して現在5連勝中だが、最近は煮え切らない試合内容が続き、ファンをやきもきさせている。
対する佐梁は6勝(1KO)7敗の戦績。6/10に3年がかりでB級2勝目を挙げてこれが初の8回戦だが、いきなり東洋・日本ランカーとの対戦が巡って来た。
1R。佐梁は地力の差が出る前に一発KOを狙おうと突貫攻撃。玉越をロープに詰めて圧力攻め。手数は多くないが、ラウンド終盤には右ストレート2発をヒットさせる。玉越はジャブで局面打開を図るが、このラウンドは佐梁の気迫に負けて自分の距離を確保出来なかった。
2R。佐梁はこのラウンドも圧力をかけてゆくが手数が少なく、ヒットも右ストレートなど僅かな数に留まる。攻勢は攻勢だが、評価に困るところではある。一方の玉越は守勢に立たされるが左ボディでヒット、有効打を浴びせ、“クリーンヒット”の採点要素では互角以上。
3R。玉越、このラウンドは佐梁のプレスを巧く捌いて主導権争いでも五分に持ち込む。こうなれば技術の差が徐々に表れて玉越が手数とヒット数で小差ながら優勢に立つ。佐梁も右ストレートなどヒットを奪って肉薄するが。
4R。ここに来て玉越の方が圧し気味に出て主導権を掌握。ボディブロー中心に回転力豊かな攻撃で手数優勢。顔面へも右のストレート、フックを浴びせてゆく。佐梁は密着しながら手数を浴びせてゆくが、これはやや苦し紛れに映る。
5R。玉越はステップワークも交えて位置取り争いで優位に立つと、ジャブからショートボディ、フック連打と手数豊富に攻める。佐梁も右ショートで粘り強く抵抗するも守勢か。
6R。手数の伴わないプレスで体を浴びせる佐梁だが、玉越はこれを突き放すようにジャブ、ショートフック・アッパーで攻めて手数・ヒット数共に優勢。ラウンド終盤になって佐梁も右でヒットを奪うが、挽回するまでには至らず。
7R。玉越は右ショートアッパー、フック連打で勝負を掛ける。佐梁は防戦一方となり、鼻血を噴いて大苦戦。と、ここでレフェリーが佐梁の鼻からの出血をチェックすると、やや早いタイミングでドクターストップがかかって試合中止。玉越のパンチによる出血のため裁定はTKOとなった。玉越もバッティングで2箇所傷を負っていたために佐梁側から不満の声も漏れたが、もし負傷判定になっていても玉越の優位は揺るがなかっただろう。
玉越は、1〜2Rには相手の強引な攻撃に手を焼いたが、徐々に主導権支配を強め、やがて技術に裏打ちされた手数攻勢で形勢をハッキリと逆転。最後はほぼワンサイドゲームにまで持ち込んでいた。欲を言えばクリーン・ノックアウトで決めて欲しかったが、完勝には違いない。
佐梁は「自分の出来る事を出来る範囲でしてみました」という感じ。試合開始当初の攻勢には目を見張るものがあったが、3Rで失速していては……。ミスマッチと言ってもおかしくないぐらいの力量差がある相手だったが、もう少しは渋太く食い下がって欲しかった。