駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第5試合・Sフェザー級8回戦/●ダニエル・マンシン[比国](6R2分00秒負傷判定3−0)武本康樹[千里馬神戸]○

セミ前には武本兄弟の弟・康樹が登場。
05年度新人王戦Sフェザー級西軍代表の武本康樹は戦績7勝(3KO)1敗1分。今年に入ってからは3月に日本ランカー山崎晃[六島]とドロー、5月にタイ人からTKOを奪っている。対するマンシンは9勝(1KO)11敗とのアナウンス。現在比国Sフェザー級7位で、今回が初来日。
1R。様子見モードのマンシンに対し、武本は積極的に手数を浴びせてゆく。ジャブ、ストレートでヒットを狙うが、マンシンは堅守でこれをシャットアウトし、ワン・ツー中心に手数を返して微差の範疇に。
2R。ダニエルは武本のジャブ中心の仕掛けをことごとくパーリングやステップバックで捌いてゆく。逆にとんでもないスイング系の大振りや強引なフックのダブルなど強引な攻撃でプレッシャーをかけてこのラウンドもほぼ互角。
3R。武本は圧力と手数を増して攻勢に出る。ワン・ツー中心の攻撃はやはり殆ど完封されるが、それでも軽度のヒットを1、2発奪う。しかしダニエルもトリッキーな動きでフックを1発ヒットさせて小差まで挽回。
4R。武本は絶え間なくジャブを放って主導権確保。手数でも明らかに優勢だが、肝心のヒットに乏しく攻略の糸口が全く見つからない。マンシンは戦意低く専守防衛で手数を殆ど出さず、ダルファイト気味の内容になって来た。
5R。完全なダルファイト。手数は武本有利だが、マンシンが強引な攻勢に出るとバッティングで出血させられるなど戦況は泥沼化する。なお、このラウンド、マンシンはオープンブローで1点減点だが、日本人同士の試合なら警告で留められた程度の反則だったと付記しておく。
6R。淡々とした展開が続く。漸く武本のジャブが当たり始めたが、ここで試合続行に利無しと判断した宮崎レフェリーがドクターに“試合中止勧告の勧告”に出て、ほぼ強制的な試合終了となった。
公式判定は大黒60-53、半田60-53、北村60-56の3−0で武本。駒木の採点は「A」60-53「B」60-56で武本優勢。
武本は守備を固めて消極的なフィリピン人を攻略する気配すら見せられず、大凡戦を演じてしまった。確実に勝つのもプロの仕事だが、客席を沸かせるのもプロの仕事。その意味でこの日の彼は片手落ちであったと言わざるを得ない。お行儀の良いテクニシャンタイプのボクシングを続けるなら更に技巧を磨かねばならないし、または荒っぽい打撃戦や強打合戦にも対応出来るタフネスやパワーを鍛える必要も出て来るだろう。次回はA級選手として相応しい試合を見せてくれる事を願う。