駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

06年度新人王戦・西軍代表決定戦

今年度の新人王トーナメントもいよいよ佳境。前日に東日本地区の決勝戦が行われたのに続き、この日は中日本・西日本・西部日本の代表を決める西軍代表決定戦が開催された。
毎年持ち回りで開催地を変える西軍代表戦、今年の試合会場は中日本地区の名古屋。当サイトの“守備範囲”からは外れているのだが、駒木と親しい関係者・ファンも多数会場に駆けつけること、CS中継も含めてノーTVであること、日程が動きやすい3連休の中日であること……と、様々な条件が重なったので、今回は特別に“遠征”する事にした。ちなみに、神戸からは昼行の高速バスで片道3時間超、運賃は往復5,500円。青春18きっぷ利用に肉薄するコストパーフォーマンスなので、参考にされたい。
さて、試合会場となった名古屋市中央公会堂の4階ホールは、アゼリア大正を一回り大きくしたような小規模会場で、最大収容人員は780人。但しこの日はスペースに余裕を持った座席数での設営が為されたというのに、全席自由のリングサイド席に空白が目立つ有様。図らずも中日本地区のボクシング人気の低迷振りを肌で感じる事になってしまった。主催者発表の観衆・550人を東日本および全日本決勝の会場である後楽園ホールに換算すると、僅かに3割程度しか埋まらない事になる。人気低迷の度合いにおいては西日本地区も対岸の火事を眺めている場合ではないのだが、気分は寒村のバス停に降り立ったバックパッカーであった。
ただ、この悲惨な観客動員の原因は、ひとえに常識外とも言えるチケット代金の高さ――全席自由6000円――によるものであると考えられる。「中日本地区はチケット代金が高い」というのは西日本のマニアの間でも有名な話だが、それにしてもとんでもない“暴利”ぶりだと今回改めて認識させられた*1。6000円と言えば、カップル2人なら映画鑑賞とランチが楽しめ、子連れの家族3人でも映画の帰りに喫茶店に立ち寄れる金額だ。そんな“大枚”をたった1人のボクシング観戦に回せる奇特な人がどれくらい存在するだろうか。ボクシングマニアすら奇特人間限定になりつつある昨今、奇特な奇特人間がどれくらい居るというのか。それに気づかぬ限り、中日本地区でのボクシング人気高揚は夢のまた夢であると断言させて頂く。
しかも今回の興行、選手・関係者経由でチケットを買うと半額の3000円だったりするのである。まったく身贔屓ぶりも甚だしい。恐らく会場内の大半は選手・関係者と、彼らから優待された知人・後援者に占められていたはずだ。ボクシング興行というのは、いつからファンクラブ限定のシークレット・ライブになってしまったのだろうか……と、身贔屓されている立場を棚に上げてでも怒りを禁じえないエピソードだった。


なお、この日のレフェリーは中日本地区所属の5氏に加えて東日本から応援に駆けつけた福地、土屋両氏の計7名で構成されていた。中日本地区と言えば悪名高い“名古屋判定”で有名だが、この日のレフェリング・採点は概ね公平かつ適正であったと特筆しておく。
西日本地区のレフェリングとの差異としては、採点で10-10を使う頻度が東日本並に高いという事と、試合中の怪我の原因を「正当なパンチによるもの」とする事にやや積極的である事が挙げられる。また、該当するケースが少なかったので判断が難しいが、ダウンを喫した後にカウント8で立った選手を試合続行させるかどうかの判断がやや甘いような気もした。


※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので、(特に8回戦以上のスコアは)参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。

*1:余談だが、この興行の後に同じ会場で行われた、負け越し選手中心のオール4回戦8試合の興行も6000円からの御代だった