駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第11試合・ミドル級4回戦/●中島裕介[平石](判定1−2)福森智史[正拳]○

中日本(2名参加)代表の中島は3勝(2KO)2敗2分の戦績。昨年は地区決勝で田島秀哲[天熊丸木]に3RKO負けしていたが、今年は4月に調整戦を挟んだ上で地区決勝を1RKO勝ち。2年越しでの西軍代表戦進出を達成した。
西日本代表の福森は4勝(3KO)無敗1分。勝ち上がり過程では、地区決勝で引分勝者扱いの大苦戦を強いられた他は、2つのKO勝ちを含む完勝。ミドル級の新人らしからぬストレート系パンチの正攻法が持ち味の選手だ。
1R。福森がジャブ連打でプレッシャーを掛けつつ、これに左フック、右ストレートも交えてヒット数、手数、それに攻勢点で大差をつける。中島もラウンド後半には大振り強打で応戦し、左フックのヒットも決めるが逆転には至らず。
2R。福森はこのラウンドもジャブを起点にワン・ツーや左ボディでヒットを量産。ラウンド終盤には右ストレートで効かせた。中島も手数、圧力を増して強い抵抗を見せるが、攻め方が乱雑でヒットになかなか繋がらず、“アグレッシブ”の優勢でどこまでフォロー出来たか?
3R。このラウンドは中島が激しい手数攻めで主導権と数的優勢を獲得。福森はガードを固めつつジャブ、ストレート中心に手数を返すが、高いガードではフックが出せない。ラウンド最終盤にショートをアゴにクリーンヒットさせたのがどうかだが……?
4R。ショートレンジの乱打戦。中島が手数の暴風雨を浴びせてアグレッシブさを大いにアピールし、ショートアッパーで印象的な場面も作るが、福森は精度ある反撃でヒット数では互角以上。またまた採点の難しいラウンドだが?
公式判定は伊藤39-37、村瀬39-38(福森支持)堺谷39-38(中島支持)の2−1で福森。駒木の採点は「A」39-37、「B」40-38で福森優勢。
福森はジャブを起点に、精度の高いワン・ツー中心の連打でヒット数で終始優勢。相手のプレスと膨大な手数に苦しめられたが、冷静な試合運びでスプリットデジションの激闘を凌いだ。パンチのパワーや精度などは全日本クラスだが、ガードを高い位置で固定する融通の利かないスタイルがキラーショットの左フックを使い難くしているのが懸念材料。抜群の素質でデビュー直後から西軍代表候補筆頭に挙げられて来た逸材だが、このままでは今後は素質を活かせないまま伸び悩む可能性もある。
中島は、試合後半からアグレッシブさで技術不足をカバーして余りある大健闘を見せた。しかしパンチの質・量で見劣りし、どうしても“クリーンヒット”の要素で上回る事が出来なかった。