駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第7試合・フェザー級4回戦/○上谷雄太[井岡](判定3−0)田中良幸[金沢]●

上谷はプロデビュー戦、田中は10/29のデビュー戦を勝利でKO勝ちして1勝(1KO)無敗。
上谷は高校選抜優勝、インターハイ準優勝と“高校1.5冠”。アマ戦績が充実し過ぎて新人王エントリーは不可だが*1、敢えてC級ライセンスでのデビューを選択した。
1R。田中が頭から突っ込むラフな攻勢でアマエリート相手にプロの洗礼を浴びせる。右フック中心にヒット、有効打も浴びせてまずは先制。上谷は無駄の無い動きも、やや攻め気に逸って肝心な所で粗さも目立つ。ラウンド終盤には右ストレートで効かせて格好はつけたが?
2R。田中の圧力攻めが続くが、上谷がステップと興国高校仕込の技術でこれを捌きつつ、右ストレートやショートアッパーで有効打、クリーンヒット。しかし田中の強引なフックを度々浴びせられて、優勢だが不満の残る内容に。
3R。田中はアグレッシブな圧力攻め。かなりラフな戦法で自身もバッティングで負傷したが、今日の相手からすれば理に適っているとも言える。ガードを固めて被弾を避けつつ、フックで有効打、ヒットを連発。上谷も手数は互角以上で、やはりボクシングのセンスは一枚上。劣勢は微差に押さえ込んだ。
4R。田中がまたしても圧力攻めでストレート、フックを散発的にヒットさせるが、上谷が手数豊富に応戦し、ラウンド終盤には逆にストレートとフック中心に有効打を返し、形勢逆転に成功する。
公式判定は原田40-36、北村40-37、新井40-37の3−0で上谷。駒木の採点は「A」38-38イーブン「B」39-38上谷優勢。
上谷が鳴り物入りのデビューをフルマークの判定勝ちで飾ったが、内容的にはプロ流ラフファイトに揉まれて大苦戦。要所で優れたセンスの片鱗は窺わせてくれたが、ペースを崩された際の対応力やディフェンス面の隙など、プロの試合では命取りになりそうな弱点も抱えている。現時点の総合力は4回戦上位級にとどまる。
田中は物怖じしない強いハートを前面に、終始果敢にプレッシャーを掛け続ける好ファイトで大健闘も、最後は地力とパンチ1発ごとの質の差で跳ね返された形。今日は動きの硬さも目立ち、未だ素質開花とはならない様子だ。今回のパフォーマンスは4回戦の中位クラスまで。

*1:暫定更新時に新人王戦出場を前提とした戦評になっていましたが、謹んで訂正いたします