駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第10試合・Sフライ級10回戦/○久高寛之[Gツダ](7R0分51秒TKO)キョーソッド・チョーワニット[タイ国]●

第2部、そしてこの日のロングラン興行のメインイベントは、世界ランカー・久高寛之の“凱旋試合”。来春に控えた日本暫定王座決定戦へ向けての前哨戦も兼ね、ノーランカーのタイ人を相手に試し斬りを行う10回戦。
その久高は14勝(4KO)3敗1分の戦績。デビューから2連敗という最悪のキャリアスタートとなったが、その後は引分1つを挟んで連勝に次ぐ連勝で04年のフライ級全日本新人王に輝く。A級昇格後は清水智信[金子]に苦杯を呷らされるも、その直後にバート・バタワンを2RTKOで撃破してLフライ級ながら世界ランクに登載するジャンプアップ。その後も時には大苦戦を経験しながらも勝利を積み上げ、現在はWBAのフライ級9位に位置する。
対するキョーソッドは自称戦績2勝(0KO)8敗。彼のような選手にしてみれば、いくら“金魚”役だとしても世界ランカーへの挑戦は僥倖と言えるのだろうが……
1R。キョーソッドはガードを固めて慎重な構え。時折思い出したように雑な連打を繰り出す。久高は不覚にもこれを1〜2発貰ってしまうが、ジャブで牽制しつつテンプルへの右ストレート、ボディストレートなどをヒットして優勢を確保。
2R。久高は右ストレートを主体に、明らかに一発をKO狙った戦い方。やや一本調子な攻めに終始するが、それでも右ストレート、ワン・ツー、左ボディ、右ボディフックなどを有効打し、ヒット数を順調に積み重ねる。
3R。キョーソッドは戦意高く前、前へと出て来たが、これは久高の思う壺で、左右フック、右ストレートの餌食になってしまう。淡々とした展開の中、ラウンド終盤には久高の右強打がテンプルを捉え、ワンパンチ・ノックダウン。勝負ありの場面だが、キョーソッドは立ち上がった。
4R。久高はこのラウンドもKO狙いだが、攻めは的確。左のジャブ、フックに右ストレートをビシビシとスマッシュさせて効かせて行く。キョーソッドは世界ランカーへの夢を捨て切れぬか、大差劣勢も我慢の子。
5R。久高は左ジャブ中心に、断続的に有効打を稼ぐ。しかしキョーソッドは専守防衛でこれに耐え抜いてダルファイト気味の展開に。キョーソッドの攻めは軽いカウンター1〜2発に留まり、採点上の久高優勢は揺るがない。
6R。久高のジャブ、ストレート、左カウンターで有効打連発も単発気味で試合展開は平板。キョーソッドは完全に打つ手無しの様相。
7R。久高はこのラウンドも左フック中心にヒット、有効打を重ねる。流石にキョーソッドも戦意を失ったか、セコンドにタオル投入を促して試合放棄気味のTKO決着に。
久高がジャブや単発ストレートで少々強引にKOを狙い、1度はダウンを奪ったが結局は消化不良気味の決着に。今日の対戦相手の水準を考えると随分と手間取った感は否めない。フィニッシュの右ストレートへ至るまでの形作りへの意識を強めてもらいたい。