駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第2試合・Lフライ級4回戦/●孫田敏晴[レンゴー](判定1−2)小畑彰吾[ウォズ]○

両者戦績は、孫田2勝(2KO)1敗、小畑は未勝利で4敗1分。孫田は昨年4月、10月とやや軽い相手ながら連勝中。小畑は昨年5月以来9ヶ月ぶりのリング。
1R。小畑が愚直に踏み込みつつ、大振りフックで手数ごと圧力をかける。これに対し、孫田は完全に受身で劣勢となったが、ラウンド終盤に漸く左アッパー、右フックなどをまとめて反撃し、印象あるヒットも奪って互角まで形勢を戻した。
2R。小畑はこのラウンドもアグレッシブに圧力をかけ、右ストレートで有効打も奪う。その後も孫田の精度が決して良いとは言えない迎撃を何とか掻い潜りながら強打中心に手数を集め、攻勢点をアピールする事に成功。
3R。小畑の圧力とスイング攻めがこのラウンドもハマった。孫田は距離を潰されて全く事態に対応できず、ヒットを返してもすぐに出会い頭のカウンターを返されてしまう。ラウンド終盤にはコーナーに詰められて痛打を浴び、このラウンドも劣勢か。
4R。小畑の圧力を孫田が受け止めて密着距離の乱打戦へ。孫田がショートフックの“迎撃ミサイル”で優勢に立つが、小畑も手数を絶やさず必死の抵抗。試合終了直前には有効打を返して形勢を微妙とする。
公式判定は原田39-38、野田39-38(以上、小畑支持)、洲鎌39-38(孫田支持)のスプリットデシジョンで小畑が念願の初勝利。駒木の採点は「A」39-37「B」40-38でやはり小畑優勢。
自分の名を勝者としてコールされた瞬間、小畑は感激の余り号泣した。それを我が事のように喜び、祝福するセコンドやジムの同僚、そして笑顔で勝者を称えるのは敗れた孫田。ボクシングには、世界戦だろうが前座試合だろうが、それぞれのスケールでドラマと感動が存在する。我々はその事を決して忘れてはならない。
小畑が愚直な圧力攻めで、敵失にも助けられたが最後まで動きを止めずに戦い切った。自分の出来る事を精一杯やり遂げたのが勝因。地力的には相変わらず4回戦でも下位クラスで、あと1勝の上積みは大変に難しいと言わざるを得ないが、今日は彼の人生に置いて記念碑的な1日となるに違いない。
敗れた孫田は、ショートブローの迎撃がことごとく不発に終わり、相手の攻勢をまともに浴びてしまった。地力的に言って捌けぬ相手ではなかったが、今日は彼の日ではなかったという事だろう。