駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・Sバンタム級8回戦/●小阿洋一[Gツダ](判定0−3)土居伸久[ヨネクラ]○

両者戦績は小阿*1が10勝(1KO)1敗、土居18勝(6KO)9敗6分。
小阿は04年の西日本バンタム級新人王だが、負傷で地区対抗戦を棄権して敗れずしてリタイヤ。その後は05年、06年にそれぞれ1戦ずつと、やや試合枯れ気味の現状。土居は01年には日本タイトルにも挑戦した古豪で、04年にはビータイト・フェザー級優勝のタイトルも獲得している。その後は勝ったり負けたりで日本ランクからも陥落しているが、西日本地区では滅多にお目にかかれない歴戦の古兵。
1R。小阿はロングレンジから右ジャブ、アッパー中心に細かく手数を繰り出して主導権確保。カウンターで有効打も追加していった。しかし土居も手数は多く、ストレートなど強打で反抗。ラウンド終盤には連打でヒットを奪い、形勢は微差から互角まで。
2R。土居がアグレッシブに踏み込んでジャブ、ストレートでタイミング良くヒットを奪ってゆく。小阿もジャブ、アッパーで手数出して抵抗するが非力さが目立ち、やや厳しいか。
3R。両者、アリシャッフルのようなパフォーマンスを交えながらロングレンジのジャブ、ストレート合戦。土居がヒット数と主導権で小差リードを奪ったようにも見えるが、小阿もアグレッシブな攻勢でジャッジにアピールを怠らない。
4R。アウトボクサー同士、ロングレンジでの攻防が続く。序盤は小阿がジャブ中心に精度の高い攻撃を決めるが、中盤以降は土居が自分の距離と主導権を掌握して、ジャブ、ストレートでヒット重ねて小差逆転まで。
5R。土居が自分だけがジャブの当たる距離をキープし、小阿の長いリーチを掻い潜ってジャブ、ストレートでヒットの山。小阿は一旦ロープに詰めて攻勢に移ったが、やはりパンチ力が無く決定的なダメージを与え切れない。
6R。A級ボクサーらしい複雑なフェイントの応酬を制したのは土居。主導権を手放さず、ジャブ、ワン・ツーをヒットさせてゆく。素早い動きで小阿に的を絞らせず、被弾を最小限に凌いでポイント確保にまたも成功。
7R。土居のジャブ、ストレート、アッパーがカウンター気味に度々ヒット。だが小阿も半身のスタンスからのフリッカージャブなど工夫した戦い方を見せて、このラウンドは微差から小差。
8R。土居はステップワーク軽く、小阿のジャブを捌きつつ、逆にジャブ起点に右ストレート、フックを細かく当てて優勢。小阿はアグレッシブに攻めたいが、土居のカウンターに勢いを殺されて白旗状態。
公式採点は飯田79-75、浦谷79-75、福地78-76の3−0で土居。駒木の採点は「A」79-73「B」80-75で土居優勢。
土居が豊かなキャリアと老獪な試合運びの妙を見せつけてアウトボクシングで生粋のアウトボクサーを封じ込める技能賞モノの完勝劇。終始退がり気味で、ダメージブローも少なかったが、終わってみれば余裕すら感じる大差判定勝ちとなった。
小阿は自分なりのボクシングを展開したが、このランクの相手では全く通用せず。生来の非力さゆえに強打で一発逆転というわけにもいかず、技巧で負けると一気に厳しくなる。

*1:おぐま」と発音する