駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第3試合・バンタム級10回戦/○山口賢一[大阪帝拳](6R2分57秒TKO)松田一弘[金沢]●

セミファイナルは、バンタム級ランカー・山口が登場。同地区のA級選手を相手にランキング防衛戦だ。
山口は10勝(2KO)1敗2分の戦績で現在日本バンタム級9位。唯一の敗戦は03年の西日本新人王予選で喫したもの。その後は6回戦を2勝1分でクリアし、A級昇格後も4連勝中。この連勝の中には昨年6月、熟山竜一[JM加古川・引退]を降し、現役引退を決意させた試合もある。早く戦績やランキング相応の選手と対戦させたい有力ホープの1人だ。
対する松田は7勝(4KO)6敗5分。デビュー当初から勝ち負けよりもドローの数が優越するじれったい戦績でA級昇格まで丸3年・12戦を要し、更に6回戦時代には更に負けが勝ちよりも先行。04年からは2年余のブランクを経験するなど苦労人型のキャリアを歩んで来た。今年2月にはタイ人ランカーにまさかの黒星を喫するなど近況も良くないが、ショック療法とばかりに一転して日本ランカーとのマッチメイクに踏み切った。
1R。松田はジャブを積極的に出してアウトボクシングを狙うが、山口がロングレンジから構わず懐へ踏み込んでいって左フック、右ストレートでクリーンヒットや有効打を連発し圧倒。松田は自分の距離を簡単に潰されてどうにもならない。
2R。山口の圧力が強い。ここでも追い足使って松田の距離を潰し、ストレートにアッパー、ボディブローとヒット連発。松田もボディブロー、ジャブ、ワン・ツーと反撃するがパンチ力で見劣り、インパクトの差は歴然。
3R。山口の圧力、追い足を使った攻勢で完全に主導権奪取。強引なパンチが多いが、ヒットの山を築いて圧倒的優位。松田はジャブの差し合いでも劣勢で、反撃の余地を見出せない。
4R。松田は右ストレートで先制したが、山口に重い右を打ち込まれてグラつくと、ロープ際を伝って絶望的な敗走を強いられる。山口の粗い動きの隙突いて反撃もしたが、逆に山口のジャブ、ストレートで顔面を跳ね上げられる。
5R。劣勢自覚し奮起する松田がジャブとボディアッパーを決めて漸くペースを掴みかけるが、山口は右ストレート1発で形勢逆転に成功すると、クリンチ気味の態勢で松田の体が一瞬持ち上げられるような形でバランス崩した所へ、突き倒すような右ストレートを打ち込んでノックダウン。その後も松田の足を使ったうるさい反撃を、山口が追い足と強打で封じ込めてゆく。
6R。松田が決死の打撃戦に出て先制攻撃を成功させるが、山口の硬質な音響く反撃が次々と突き刺さって松田に大ダメージを与えてゆく。ラウンド中盤、山口がロープ際に詰めてTKO寸前の場面を作り、終盤にもう一度、今度はコーナーに詰めてのラッシュで圧倒。最後は「ドツき倒す」という表現が似合う強引なラッシュでダウンを奪う。ストップに慎重な野田レフェリーもこれを見てノーカウントでTKOを宣告した。
山口がパワーで松田のボクシングを完全粉砕。相手の攻守を機能させず、一方的な試合運びでまさにパーフェクトゲーム
松田はパンチ力で大差劣勢のハンデがあり、そこに加えて距離や主導権も相手の支配下に置かれては、もはや白旗を揚げるしかあるまい。この結果も致し方なしである。