駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・Sフェザー級4回戦/○谷大渓[進光](判定3−0)大谷康晴[クラトキ]●

谷は未勝利2敗、大谷はこの日がデビュー戦。谷は昨年8月、12月と連続KO負けを喫しており、今回は進退を賭けての正念場となるだろう。
1R。谷はロングレンジから単発ワン・ツーを絶え間なく繰り出す変形アウトボクシング。一連の攻めの中で度々ストレートをヒットさせて数的に優位。大谷も断続的に圧力をかけ、やはりワン・ツー中心に攻めを仕掛けるが、なかなかヒットに繋がらない。
2R。谷がリング中心に立ち、長いリーチで牽制しつつ自分の距離を確保。ビジュアル的には相手を動かしているように見え、主導権支配のアピールも十分。攻めあぐむ大谷は左カウンターを1発決めたものの、それ以外の攻めは谷にステップワークを使われて捌かれる。ラウンド後半も谷は主導権をキープしつつ手数でもリード。ジャブ、ストレートでヒットを重ねて優勢を確保する。
3R。大谷はラウンド前半、機先を制して右ストレート、左ジャブ、そしてカウンターを決めてリードを奪う。谷のロングレンジからの反撃には苦しめられるが、それでもギリギリで決定的な被弾は避けている。それでもラウンド後半になると谷は主導権を奪い返して攻勢。ヒットの質・量こそ物足りないが、形勢は互角前後まで挽回する。
4R。このラウンドも谷が序盤から自分の距離を作るが、大谷は谷の外、外へ出る左回りのステップで距離を詰めて反転攻勢へ出る。谷はスピード差を活かして容易に付け入る隙を作らないが、守勢に回った分だけ手数も減って形勢は微妙。
公式判定は洲鎌40-36、坂本40-37、野田39-38の3−0で谷。駒木の採点は「A」38-38イーブン「B」39-38谷優勢。
谷は、長いリーチのワン・ツーとステップワークを駆使し、相手の射程外となるロングレンジをキープする変形のアウトボクシングを展開。各ラウンドでポイントを獲り切って初勝利を収めた。パンチ力不足は否めないが、今日の試合運びは未勝利選手とは思えぬスムーズさで、4回戦中位級からやや下あたりのパフォーマンス。ただ、このスタイルも一度守勢に回ってしまうと脆そうではある。今後、パワーファイター型の選手と当たった時は注視が必要。
大谷はアグレッシブに攻めてこそのファイトスタイルながら、今日はスピードであしらわれて攻撃の前段階で作戦を挫かれてしまった印象。全体的な技術・身体能力の底上げを図らねば、また今日のような中途半端な試合振りを繰り返してしまいそう。