駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第6試合・フェザー級契約ウェイト(56.0kg)8回戦/○中井五代[大鵬](判定3−0)川野正文[大阪帝拳]●

中井は8勝(5KO)4敗2分の戦績。03年にデビュー。4回戦突破に1年半・7戦を費やし、その後も所々で敗戦を喫する不安定な戦績に甘んじている。6回戦以降に敗れた選手の大半は現役ランカーや後にランカーとなった選手で、この戦績も厳しいマッチメイク方針の結果とも言う事が出来るが、昨年12月の日本ランカー挑戦は敢え無く失敗に終わり、前回4月の試合もスプリットの辛勝。今一つ波に乗り切れていない印象もある。今回も敢えて同格の日本人選手が相手で、試練の時期が続く。
対する川野は7勝(2KO)5敗1分。02年にデビュー。それ以来3連勝で03年、04年と新人王戦に挑むが、04年の西日本ベスト4が最高位に終わる。6回戦昇格後は、荒川正光[京都拳闘会]と1勝1敗の後、小林克也[正拳]に1RKOでA級へ。8回戦では、この日メインに登場する上原裕介と昨年8月、12月と連戦して連敗に終わった。今回は8ヵ月半ぶりの試合となる。
1R。中井が持ち味のハンドスピードを活かして攻勢。ロングレンジからタイミングを計りつつ、カウンター気味に右ストレート、フック、アッパー、左フックで有効打、クリーンヒットを連発。終了ゴング前には右ストレートで豪快なダウンを奪う。
2R。中井はこのラウンドも自分の距離から自在の攻め。右ストレート、左ボディフックと決めて優勢。川野は自分の距離を外されて手数伸び悩み攻めあぐむ。ラウンド終盤、右ストレートを1発有効打するが、挽回までは?
3R。川野が足を使って漸く自分の距離を掴む。手数も増えて右ストレート、ショートアッパーなど打ち込んで互角以上の形勢に。しかしラウンド終盤、中井は右アッパー、ストレートで逆襲し、終了ゴング直前には高速連打で効かせて一気に逆転まで。
4R。中井が再び運動量を増やして右ストレート中心に攻勢。ヒット、有効打を重ねてゆく。川野も迎撃する形でワン・ツー、ストレート、アッパーと打ち込むが、クリーンヒットに繋がらない。
5R。中井がアグレッシブに左ダブル、トリプル→右など手数浴びせて主導権を確保。ヒット数でも優位。川野もワン・ツーにアッパー中心に抵抗し、アッパーではクリーンヒットを決めて「あわや」のシーンも作った。
6R。ショートレンジ打撃戦。中井が豊富な手数で攻勢をアピールしたが、川野は右アッパーで二度三度とクリーンヒットを奪ってこちらも印象的な場面を作った。
7R。アグレッシブな手数の応酬が続く。ラウンド中盤までは互いに手数で相殺したりガードで弾いたりと明確なヒットが見られない展開だったが、終盤に中井の右ストレートや連打攻勢が川野を捉えて形勢が傾いた。
8R。再びショートレンジ打撃戦。中井のワン・ツー攻勢が次々と的の中に納まって先制するが、川野も右ストレートを的確に当て始め、最後はクリーンヒットで中井をグロッギーに追い込んだ。
公式判定は坂本78-75、原田77-75、北村77-76の3−0で中井。駒木の採点は「A」78-73「B」79-73で中井優勢。
中井が持ち前のハンドスピードで序盤戦を圧倒的な優勢で支配。それ以降は動きが鈍ってクリーンヒットを度々被弾しピンチの場面もあったが、回転力のある連打で終始圧し気味に試合をコントロールした。
川野も手数を積極的に出して応戦。ストレートやアッパーでは相手をしたたかに効かせて逆転KOも窺う展開まで持ち込んだが、ノックダウンを奪うところまで追い込めなかった。