駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第7試合・Sフェザー級10回戦/●上原裕介[大鵬](判定0−3)加治木了太[協栄]○

上原は12勝(6KO)4敗1分の戦績。02年にデビュー。新人王戦は目もくれずに4連勝でB級昇格、更に3戦で6回戦を2勝。そこから連敗、負傷ドローと一時停滞するも、05年9月からA級で全てノーランカー相手ながら5連勝をマークする。しかし前回4月の試合では逆転寸前で負傷判定に持ち込まれる不運もあったが、久々の黒星を喫して踊り場で足を止めた格好。今回は再起戦にして、ランキング入りを念頭に置いたチャレンジマッチ。
東日本の協栄ジムから遠征の加治木は8勝(6KO)3敗の戦績。05年にデビュー。この年を1勝2敗と躓くが、翌06年の新人王戦では破竹の5連勝で全日本新人王のタイトルを奪取した。日本ランキング登載後も積極的に試合を重ねているが、今年2戦目の5月には鈴木徹[横浜光]との新旧東日本新人王対決に敗れてランキングから陥落の憂き目に遭っている。今回はなんと今年4戦目。出身地的には準地元とも言える大阪で遅れ馳せの“凱旋試合”となる。
1R。加治木が圧力かけつつジャブ中心の正攻法。スピードの差で距離とペースを掴んで左フックをクリーンヒット。上原はアウトボクシング気味に捌こうとし、右ストレートで有効打を決めるがやや劣勢。
2R。加治木はこのラウンドも主導権確保をアピールして左ジャブ、ボディブロー中心の組み立て。ラウンド終盤には右ストレート、左フックでクリーンヒット。上原は右ストレート中心の反撃もガード破れずヒット少ない。
3R。加治木ペースが続く。左フック、右カウンターが的確に有効打となり、ディフェンスも手堅い。上原は踏み込んではストレート、フック中心に手数を浴びせて攻勢はアピールして食い下がる。
4R。上原は序盤、上下に左を散らしておいて右ストレートを打ち込む戦法で攻めるが、加治木は一旦攻勢に出ると、たちまち左フック、右ストレートで吹き飛ばす。単発だが威力十分。
5R。上原の攻勢は中途半端な距離でパワーに欠け、手数のみの印象。加治木は度々自分の射程圏から左右フック、右カウンターなどで上原を後退させてチャンスを作る。
6R。加治木が圧力強めて手数攻勢。これを上原が受けて立つ形でショート〜クロスレンジの乱打戦へ。共によく攻め、よく守り、多くの手数と少ないヒットを交換して互角。
7R。加治木の猛攻。近距離戦でワン・ツー、左フックをクリーンヒットするや、一気にロープやコーナーに追い込んでラッシュ。上原も怯まず奮戦するが、クリーンヒットの数がまるで違う。
8R。上原が圧力を強め、右ストレート、アッパーでヒット。有効打を先に奪い漸く主導権奪って攻勢。加治木もアグレッシブに抵抗し、被弾した後も怯まぬ強いところ見せるが、逆襲の手が鈍った。
9R。加治木は足を使いつつ、上原の前進を待っては右ストレートを合わせる作戦で再三有効打奪取。上原は後退を余儀なくされつつも度々前、前へ出て行って手数と右ストレートで逆襲を企てる。
10R。上原が果敢に乱打戦を挑むが、加治木が右ストレート、左ストレートを次々クリーンヒットさせて返り討ち。上原は度々グラつかされながらも逆転狙い、ストレート、ワン・ツー、アッパーと放っていくが及ばず。
公式判定は坂本98-92、宮崎98-92、北村98-93の3−0で加治木。駒木の採点は「A」99-91「B」99-94で加治木優勢。
加治木が左フック、右ストレート、そして堅実なディフェンスで各ラウンド数的優位とヤマ場を作って大差判定勝ち。大きなダメージを与えた後に詰め切れない辺りに課題を残したが、日本ランカー経験者に相応しい実力を見せ付けた。
上原はリーチで恵まれたがファイトスタイル上、これを活かし切れず。不用意に踏み込んでは被弾する苦しい展開に陥った。それでもアグレッシブかつ頑強に抵抗して試合を大いに盛り上げたが、勝ちまでは遠かった。