駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・Sフライ級契約ウェイト(51.8kg)8回戦/○宮崎亮[井岡](判定3−0)橋本泰治[尼崎]●

宮崎は3勝(2KO)無敗1分の戦績。アマ時代にインターハイで高校タイトルを獲得。B級デビューの資格を持ったまま06年12月に4回戦でデビュー。タイ人相手に連勝した後、6回戦へ。4月には西日本新人王戦Lフライ級準Vの須田康博[八尾]にダウンを奪われる苦戦を演じながら判定勝ちし、前回6月には勝利目前の所を相手の負傷によるテクニカル・ドローに泣かされたが、B級戦線での地力上位をアピールした。今回は初の8回戦。正式な内規では未だA級昇格の条件(6回戦で2勝)を果たしていないが、アマ実績やプロ入り後の成績を勘案されての特例措置か。
対する橋本は7勝(1KO)2敗3分。03年末にデビュー。キャリア当初はドローが多く、勝ち味の遅さに泣かされていたが、06年の新人王戦では翌年のLフライ級西軍代表となる中澤翔[大鵬]を下して西日本決勝まで進出。6回戦も連勝でクリアするなど成長の跡を見せた。今回は4月のA級緒戦で山本剛嗣[守口東郷・引退]に敗れ、一息入った後の再起戦。アマエリートを叩いてA級上位戦線に名を連ねたいところだが……
1R。軽量級らしいスピーディな攻防。互いの攻勢をステップで空転させつつ、主導権を窺う。宮崎はカウンター気味のストレート、橋本はジャブと振り下ろしの右フックで攻める。
2R。主導権と手数の優位を争う激しい攻防が続く。宮崎がフックのダブル・トリプル、橋本は出入り激しくボディ連打。インパクトのあるヒットが多いのは宮崎だが、小差。
3R。橋本アグレッシブに前へ出て、アッパー中心に強振するが、宮崎はスピードのあるボディワークでこれを空転させる。ラウンド終盤、宮崎がフック合戦や密着しての打ち合いで優勢に立った。
4R。橋本が先手で攻め、ボディ中心にヒット連発。宮崎は守備中心にシフトして手数を出すが、橋本に凌がれて空転。だが渋太い宮崎はラスト30秒、立て続けにアッパー、ストレートを有効打して形勢挽回に成功する。
5R。橋本がアグレッシブに前へ出て、ボディ中心にヒットを重ね、宮崎の反撃も手堅く食い止める。宮崎はアッパー、ストレートにキレを感じるが、相変わらず精度甘く明確なヒットに乏しい。ジャッジは三者一致で宮崎のラフな攻勢を上位と見たが、これは疑問。
6R。このラウンドも橋本がアグレッシブに手数を出し、細かくヒットを重ねてリードする。宮崎も時折連打を放つが、橋本は手堅くブロックし、ヒット数では大差の形勢。主導権も橋本の支配下で、このラウンドは形勢明らかのはずだが……。
7R。宮崎はジャブを増やして対峙するが、橋本は踏み込んでショートを10数発細かく浴びせて先制。ラウンド中盤からのショートレンジ乱打戦も五分にまとめてポイントを確保した。
8R。激しく動き回りながらの打撃戦。やや距離広がって宮崎のスピードが再び活き始める。打ち合いでもストレートで打ち勝ち、アグレッシブに攻める橋本を食い止めた。
公式判定は原田79-74、坂本79-75、宮崎77-75の3−0で宮崎。駒木の採点は「A」77-75「B」78-76で橋本優勢。序盤を宮崎、中盤以降を橋本が支配し、形勢逆転かと思われた最終ラウンドに宮崎が踏ん張った、という小差互角の内容に見えたが……。この日は筆者手元の採点が公式判定と乖離しているケースが目立つので、恥ずかしい話だが自信を持って優劣を論じる事が出来ない。スカイAが視聴可能な方は是非ともご自分の目で判断して頂きたい。
宮崎がスピードの差とパンチの視聴覚的なインパクトでジャッジにアピールして判定勝ち。だが手数劣勢が続く展開で、採点結果以上に苦戦した印象。精度不足を解消しないとA級上位では苦戦しそうだが。
橋本は手数、ヒット数、攻勢点で互角以上の内容。これでこの点差での敗戦は可哀想。