駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・日本ミドル級タイトルマッチ10回戦/○《王者》江口啓二[姫路木下](4R2分58秒TKO)叶栄治[大阪帝拳]《挑戦者・同級8位》●

王者・江口は15勝(10KO)1敗のサウスポー。OPBFではミドル級1位。相撲という異色のキャリアからプロボクシング入り。デビューした03年に新人王戦で西軍代表まで進出、全日本決勝は際どい判定で清田拓三[フラッシュ赤羽]に敗れるも、これが現在まで唯一の敗戦。再起後はタイ人中心ながら06年3月までで7KO含む8連勝。唯一の判定勝ちも元日本・東洋王者の保住直孝[ヨネクラ]が相手だった。06年12月に板垣俊彦[木更津GB]を破って日本ミドル級タイトルを獲得し、07年3月、7月と2度の防衛に成功。今回は3ヵ月間隔で3度目の防衛戦に挑む。
挑戦者・叶は12勝(4KO)8敗5分で、現在は日本ミドル級8位。以前はナカムラエイジの名前で活動していた。95年デビュー、翌年に2人参加ながら西日本ミドル級新人王となるが西軍代表戦で敗退。その後もドロー続きで足踏みし、B級へ昇格したのは99年秋。6回戦を1年でクリアし、A級では日本ランキングへの出入りを繰り返している。タイ人やノーランカーに勝ち、王者級の大物選手には敗れるという戦績を積み重ねているがタイトル戦経験は豊富で、03年、05年には日本王座に、06年にはOPBF王座に挑んだ(いずれも敗退)。今回が4度目のタイトルマッチ。34歳という年齢を考えるとラストチャンスになるだろう。
1R。ミドル〜ショートレンジで大きめのパンチを振るい合う展開。叶の右もヒットするが力感余り感じず、江口の左は如何にも重い印象が。江口はスピード優位を利して活発に動き、主導権も確保。
2R。このラウンドも強打の打ち合いだが、江口が早々に左を上下に当てて先制し、右フックも交えてラウンド前半からリードを広げにかかる。叶も江口の低いガードを咎めてヒット奪うが……
3R。ミドル〜ショートレンジ打撃戦。江口がここでも左を上下に散らしてゆく。叶も右ストレート、フックを返して踏ん張ったが、江口は左ストレート、右カウンターでダメージを奪って差を広げる。
4R。このラウンドも打撃戦。自分から動ける江口のペースは揺るがない。叶も渋太くジャブ中心にヒットを重ねるが、江口の出入りしながらのストレートとフックが見栄えする。江口はラウンド後半に左ストレートのクリーンヒットからラッシュ開始。右→左ストレートでノックダウン。叶は立ったが、再開直後に連打で再び倒されて、今度は即ストップがかかった。
江口が下馬評通りの完勝。スピード上位でパンチ力でも上、試合運びにも穴は無しとなれば負ける要素がどこにも無い。王者の風格漂う防衛と言えよう。問題点は低いガードをボディワークなど他の守備技術で補完出来ていないところ。
叶は年齢的なものもあって動き鈍く、攻撃の冴えも見劣りした。ランキング下位である以上は自分の都合で試合は出来ないが、4度目の挑戦は遅過ぎた感も。