駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第6試合・Sフェザー級6回戦/○山下将臣[高砂](判定3−0)大木良祐[千里馬神戸]●

両者戦績は山下7勝(2KO)3敗1分、大木5勝(1KO)3敗。山下は4月のA級緒戦で黒星を喫したが、8月にはタイ人を2RKOに仕留めている。大木は今年の新人王戦ベスト4。再起戦であると共に、これが初の6回戦。
1R。距離を開けての牽制から、大木がヒット&アウェイの形で単発ながらジャブ、ストレート、アッパーとヒットを奪う。山下は圧力をかけるも不発。攻め手を考えあぐねているようにも見えた。
2R。このラウンドもロングレンジから大木が度々仕掛けていって手数とヒット数を稼ぐ展開。山下は自分から攻めに行く回数が少なく、駆け引きで後手に回っている様子。
3R。これまでとほぼ同様の展開。大木がタイミング良くジャブ、ストレート。山下も強引に出て強打振るい互角に持ち込むが、体と頭が前に出てしまって空回りしているようにも。大木はクリンチワークで凌ぎにかかる。
4R。このラウンドも大木に主導権が傾きかけたが、山下が密着してロープに詰めて手数攻勢。ラウンド終盤には右ボディストレートを追加して僅かながら逆転か。大木はやや決め手に欠ける攻めだった。
5R。大木が中間距離を保ってワン・ツー、フックでパンチ数を稼ぐ。山下が強引に出てゆくシーンもあったが、スピードが乗り切らず、自分のペースに持ち込めないでいる。
6R。やや泥仕合気味の打撃戦。大木が先手で動いて数的優勢。山下もクリンチ多用して踏ん張りつつ強打で反撃するが、決め手無くどこまで評価されるか?
公式判定は坂本、原田、野田の三者いずれも58-57で山下を支持。駒木の採点は「A」59-55「B」60-56で大木の方に優勢を見た。大木はジャブ、ストレートでヒットを重ねて主導権支配でも優位をアピールしたが、決定的場面が作れず。山下の要所を押さえた強打と圧力攻勢がジャッジの支持を集めた形。6回戦ボクサーが8回戦に判定で勝つには互角近辺の形勢では難しいと言う事か。
山下が混戦を制してC級時代以来となる日本人選手相手の勝利。しかし専門誌の短評でも苦戦ムードを強調されるなど、厳しい内容だった。率直に言ってユナニマス・デシジョンは幸運と言っていいだろう。
大木はジャブ、ストレートでヒットを重ねて主導権も主張したが、決定的な場面が作れず、逆に要所で強打を浴びて、各ラウンドで獲りかけたポイントを手放した形。